蜜柑狩 '13ナミ誕
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    △天花雪ぐ(サンジ語りの669話)

    2012ナミ誕 ] 2012/07/01(日)
    心地よい酔いを含んだ睡魔に身を任せている空を飛ぶような感覚の中。
    その風を感じなくなって、夢の中で聞こえた二音。
    途端 自分の体の中で弾けた大きすぎる感情が二心。

    俺の中のはずなのに、その一つは、明らかに自分の物じゃなかった。





    「ゾロ あんたも行きなさい。それからサンジ君達が私の体に触ったら10万ベリー、覗いたら20万ベリーってのはあんたにも借金に付けるわよ!」
    「んだと!こんの守銭奴!!てめェ二年前から一っつも替わってねェじゃねェか!」

    愛しのナミさんの指示だから断れねェがこんな馬鹿が楽園と一緒の俺に付いてくると思うと本当に鬱陶しい。
    それでも間違った方向へは行っていなかったと思う。
    だってこの雪山で骨の爺と迷子と一緒の割には浪漫に出会えた。
    ちょっと浪漫に意識を持ってかれ過ぎたのは計算外だったが。


    構 えた銃と臭いに覚えがあった。おそらくは同じガスなんだろう、二度目だったんで一瞬の差では身構えた事と・・・多分中で弾けた気持ちの衝撃で一人早めに目 を覚ます事が出来た。
    三下が何かほざいていたが関係ねェ。
    そういえばナミさんも身軽で体は柔らかいだけに強さはなくとも動きに違和感は少ない事に気が付い た。
    だが何せ 体はか弱いナミさんのもの・・・アザでもできたら大変だ。



    アザ?

    手足を感じてみる。

    落下の傷どころかアザ一つも無ェ。

    上を見上げた。
    先程落ちた先の崖は降雪で見えないくらいに高い。
    ナミさんのこのお体に傷一つなかった事は喜ばしい限りだ。まだ起きないブルックの奴が軽量ながらもかなり雪の中に埋もれていたうえに首がややあらぬ方向を向 いている事と比べると、こちらは落ちた衝撃の記憶もなければ痣一つないし、寝たままのマリモがこれまた偉く盛大に雪に顔を突っ込んで埋もれている事もざ まぁみろと思える。

    だが崖下に視点が止まった。ブルックの転がった先とマリモの転がった先に二つ、落下の跡が見える。自分が立ち上がった後もその一つ・・・・・・マリモ側から分かれて転がった跡に見えた。
    そしてやや遠くに切り口のある剣山状の雪塊が小山のようだ。



    夢の中のように思えたさっきの記憶を思い出す。
    『・・・ナミ・・』
    耳元で響いた時に感じた絶対的な拒否感と自分の物じゃない溢れ出す歓喜が体内で蘇る。
    あの時も今でも自分の感情でない事ははっきり分かる。



    ああ、陽も差さないのに雪の強い照り返しが目の裏にまで染みこむ。
    染みこんで苦くとも納得した。

    「ちっ・・・あの野郎に庇われたか」


    喧しく文句は言う割にはナミさんを守る事に賭けては絶対に信頼を裏切らないこの男に俺が抱くのはやはり拒否感だ。さっき寝ながら感じてた俺の方の感情だ。
    ただ・・ナミさんの中に俺が居て、これが不思議な事なんだが感覚も記憶も全部俺なのに意識が遠のけばナミさんの喜びを俺も感じる事が出来た。
    きっかけはおそらくは抱えられて守られた腕、野郎の呼んだ声。
    そこから溢れた歓喜。

    ソレを分かっちまうと腹立ちも諦めも張り合う気持ちも出てきやしねェ。
    あたりまえに護り守られている二人に対するこの気持ちをどう表現すれば良いのだろう。





    「一本失礼・・・」
    吸い込んで煙の快感が手足を巡り心の芯に煙が行き渡る。
    吐き出した煙が一本空に向かって立ち上る。
    あっさり喫煙を許してくれた彼女の笑顔を思い浮かべる。
    「ナミさん・・・!」
    重たい何かは昇華されないままでも大気に雪がれて溶けてゆく。


    「さて・・・」

    ナミさんのお御足で蹴り降ろして起こしてやったのはせめてもの嫌がらせ。いつものナミさんと同じ拳骨殴りになど絶対にしてやるかよ。



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    △観月(moon-gazing)イラストより

    2012ナミ誕 ] 2012/09/01(土)
    その空間の音はぽわんぽわんと聞こえてる。
    でも音じゃない。触感が耳に聞こえるような、これはただの感覚。触感。
    耳をくすぐるような微かな優しい聞こえない響き。
    目には大きな、あり得ないはずの大きさな、まるで月。
    人間へのもてなしの心を伝えようとした彼の女王の残した空間。海の国の宝の一つ。
    興奮して言葉選びを苦慮するしらほしから話を聞いた。
    初めてもてなす相手が人間の海賊達と聞いても彼女は微笑んでくれるような気がした。






    「もーかなわんわ、わし、宴の準備で忙しいっちゅうのに・・・ええいそちらではないわ!ここを開けるのも姫様たっての願いだからじゃぞ!」
    「やったぁ!いい匂いだと思った!!」
    ウロチョロするルフィの首根っこを押さえたのはサンジ特製ではなく厨房の人魚が運んできた山盛り軽食を無理矢理乗せた大型ワゴン5台。彼らをもてなす宴の準備に少し時間が欲しいという王宮の要望とルフィの腹の虫の盛大さに対しての配慮らしい。アドバイスを受けて今度こそはの魚人達の配慮は的中、甘海ぶどうはじめ魚人島の珍事がてんこ盛りでサンジも試食に余念がない横に匂いに釣られたルフィは手を出しながらきちんと付いてきた。



    「うへぇ真っ暗」
    背の高い扉がギシリという音を立ててゆっくり動く。外に引かれた扉は周囲の空気を動かし、その動きに合わせて扉の裾で埃が舞う。扉の固さから開かずの間だった事を伺わせる。
    「管理用の扉ならそちらじゃが正門を開けるようにとのお言葉じゃ・・貴様らは海賊でも仮にも客で、ここに値する人間じゃからな」
    大臣はなぜか空自慢げに宙をそよぐ髭で大きな扉の隣の小さな入り口を指さし胸を張り、そして人には見えないフランキーとチョッパーに視線を送って一度溜息をついた。
    「・・ワシらも人間という意味をもっと広く考えんといかんのう」
    他人には聞こえない呟きを耳にしたロビンはなにやらツボにはまったよう。クスクスと笑いが止まらない。


    案内されたのは先の天竜人が助けたという貴人・・つまりは人間をもてなすための部屋。
    名を『観月の間』という。


    「海底での月見の部屋って事?」
    「なぁじーさん。無理じゃねェか?海底じゃ太陽と一緒で月がね-だろ?」
    ロビンが問う視線を送り、後方に控えたウソップが両手を後頭部に組んで呟く。
    「それをここの管理人の海狸親子の前で口にしてはいかん」
    海狸は海獣ではない。魚人には珍しく親子の形が似通う地上の生き物に近い。彼は息子たちと共にここの管理をしている。性格は生真面目。一本気故にふざけたりが通用しにくい。

    暗い部屋だった。広さも高さも読めない。なのに小さな影が飛び出してきた。
    「客人方、入りなされ。そして黙って見てくだされ。確かにこの光、陸で見る本物ではありません。しかし先人の絶えぬ苦労の賜物ですぞ」
    体温を感じるふわっとした生き物が囁くように言っては部屋から次々と出てきた彼らが右大臣の指示で灯りを入れると暗闇だったはずの空間の底の方に仄かに優しい灯りが零れ始めた。海狸だそうだ。
    その合間に入っていった兵影だけが淡い光の中幽霊のように揺れている。騒ごうとしたブルック達を大きな海狸はポカリと殴った。結構血の気の多い御仁らしい。
    そして着いてきた兵士達に指示をする。


    「あ」
    小さな光る球体が数個様々な高さに浮かんだ。

    ほんの淡い光。
    一吹きで消えてしまいそうなその淡さには軽やかに駆け寄ろうとしたルフィでさえも呼吸を堪えた。
    しぃっ声を出すなと指示されながら促されて全員が部屋に足をゆっくり踏み入れる。
    柔らかいシャボンの木の根を越えながら思いの場所に広がり上を見た。少し明るい気がしたからだ。

    丸い球が上方で淡く光を放ち始めた。木の根に張り付くそれは見られたためしがない。
    最初は微く、光はゆっくりゆっくり光量を増してゆく。あくまでも柔らかな光だ。
    光に照らされ周囲が顕らかになって行く。
    陸に上がった魚人達の話から想像して職人達が作ってみたというひときわ大きな、地上で見るよりも大きな、ああまるで月。


    壁は海と同じ碧。その壁が部屋の下から上に向かってどこまでも延々と続いていくように見える。室内にこの空間を作るには壁の色遣いの配置にはもの凄い計算がなされているはずだ。張り付いたようにシダ類やコケ類やそして上にまで伸びゆく木々に巻き付き勢力を示す。
    全てを空気で満たした部屋で敷き詰められたシャボンの根は同じく大小の丸い泡を放ち続けている。月に似た光がもたらす柔らかい青の部屋の中でシャボンは反射して虹色に揺れ、一つ、また一つと浮かぶ。浮かんでは上方に向かい何処まで行くのか目が離せない。


    小海狸が白い団子を持ってきて配り始めた。
    ふわっとした触感の見事なこれも球状の餅。
    笑う可愛らしい獣の小さな手から柔らかく真っ白なそれを手に受け取る不思議な姿を見つつも、天井の光景から目が離せない。

    言葉が出ない。
    目が離せない。
    同じ物を見ながら仲間内で目を見交わす事もなかった。ただ空にも見える上の空間に浮かんでゆく泡達の行く末を追いかけてしまう。
    立位の者もいる。座り込んで見上げる者もいる。皆、それぞれに互いの目に映る光景に飲み込まれて同じく言葉を失い同じく見上げ続けていた。






    綺麗な光景に心を奪われて無言になる事時には呼吸も忘れるのだとナミは始めて知った。

    溜め込んでいた息をゆっくり吐き出す。
    自然にもう一度ゆっくりと吸い込む。
    繰り返してみながらも、この光景から目が離せない。
    この空間に早すぎる動きは似合わない。次は軽く吸い込みそして優しく吐く。次に吸い込んだら体は和らぎ、ようやく言葉が溢れた。

    「・・・きれい・・・」
    「・・・きれいだな」
    言葉が重なった。 期せずして。無意識に自分から零れた言葉と同時に重なる言葉が耳から入ってきた。
    その言葉が一期にとゆっくりを同時に、ナミの中を満たしていた。全て無意識に。


    隣にいた男の少しかすれた声で静かに、確かにそれは耳に聞こえた。
    この静かな部屋でずっと感じていた光の音とは余りに異質だったせいか、耳の奥底にまで響いたその言葉はナミを底から震わせた。

    低い声だった。聞かせるためじゃなくただ零れた音が身体の奥にじんと響く。
    響いてナミの身体の中を揺らす。
    揺らされて、そして中から震えが来る。
    ほんの一言が一音が、鼓膜を叩いて頭頂から響いて、そしてお腹の下に響いてまた揺れて震える。
    振動が快感の蓋をそっと開けてこの空間の碧い光を身体の中に外に絡ませる。

    身体の中に起こる波動に呼応しつつ、ゆっくりとナミはその隣を見た。
    彼が居た。


    月を観てる。
    腕を組み、指先だけが他とは異なるやや弛めのリズムを刻む。違うリズムでゆっくり頭が波打って見上げてる。
    光景に酔えるような繊細な感性を持つとは思わなかった男が空中を見上げて嘆息してる。

    ただ。
    この碧い空間の中、奴が別人のように見える。
    碧いリズムの具現者の美は戦闘中の、存在感ある、信頼に因る美ともまた違う。
    穏やかでいてそして清冽な、そう綺麗さ。

    ああ息を詰めてただ見つめてしまう。

    心が彼に揺すられた今は見つめてしまった視線を動かせない。
    これはこの部屋の魔法なの?それとも月の魔法?
    ああ、先程の光の乱舞と同じ視界の持つ力に酔ってるのかもしれない。
    意をして創られた物にはなにがしの念が隠っているのだろうか。

    観てしまう。

    アイツが嬉しそうだ。ああ楽しそうだ。口の形が笑みを浮かべてる。もらった白玉団子を加える口元が愛おしい。
    その笑みが嬉しい。
    愛しさの意味が分かる。
    自分の中に広がる。

    ゾロが可愛い。
    ゾロの。
    ゾロの喜びが純粋に自分の中で嬉しい。

    何でこんなに嬉しいんだろう。



    視線を感じたのかゾロがゆっくりと首を回した。仲間に見せる優しい視線をナミに合わせてきてる。
    「どうした?」
    その声も碧い光の中に浮かんでいる、柔らかな問いも別世界のよう。
    いいえ、もしかしたら私がゾロに勝手に緩んでしまったから感じる魔法でそれらが柔らかいのかも知れない。

    「なんでもないわよ。だって・・・・・・・綺麗じゃない」

    むりやり空を見上げようとした私の肌がチクチク感じてる。だってアイツがじっと私を見つめてた。
    まだ・・まだ見つめてる。だからそっと首を傾けてみた。

    なんだか顔が熱い気はするけど私だってアイツを見返していられる、そんな私だから大丈夫。
    勝手な思いの筈なのにゾロの視線が肌の至る処に感じられる、けど私は見返してる。
    だってこんなゾロを見逃すなんて、何より惜しいんだもの。
    「・・・・・・ああ綺麗だな」
    絞り出されたゾロの口にはそれ以上の言葉が乗らないからその声だけが言葉に乗って私の中で反響して響いて響いて。
    ああ視線だけでももの凄く困るのに。

    「・・・・・・・うん凄く綺麗よね」
    真っ赤な顔を隠したつもりで無理矢理返せた言葉がこれなんて情けないって言うか恥ずかしいって言うか、何より自分の有り得ないセンスの無さに呆れちゃう。


    「そっちじゃねェし」
    呆れを含んだ声と碧の部屋の中でゾロの視線がきゅっと私に突き刺さったような気がした、その後ずいっと目を逸らしたゾロの碧く見えた顔色が少し紅に高ぶった感じがする奴の。目は遠くを泳ぐばかりで気のせいだろうけど。


    ふと気が付いた。
    ブルックの静かなヴァイオリンの音が部屋に流れていた。
    満ちすぎた私たちの間を、流してくれるかのように。





    end  


     

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