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    蜜柑狩 '13ナミ誕
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    空と海の狭間で-29

    2007ナミ誕 空と海の狭間で ] 2007/08/29(水)
    数時間前のことだ。




    捕まれとの指示を受けて側の手すりがあったのを幸い捕まっていた。
    船の揺れは激しく、波も高くなってきている。これはもう船内に入らないとならないだろうとナミの方を見たその瞬間。大きな波が船に被ったかと思うとナミが足を滑らせて落ちてゆくのが見えた。
    音のないゆっくりとしたスローモーションの映像みたいに見えて、なのに自分もすぐには動けなかった。つかまっていた手摺りから手を引きちぎったように外す。その時間の間にもナミは巻き込まれてゆく。
    捕まえようと踏み出したがナミはそのまま海中にさらわれた。黄色いライフジャケットごと波に巻き込まれていった。
    迷いはなかった。足下に浮き輪があったからこれを幸いとつかんでナミを追いかけた。




    一瞬見えたオレンジの塊がまた波間に引き込まれる。何度も沈んだり波をかぶったりしてる。自分はライフジャケットのおかげでどうにか沈まずまた海面に顔が出た。だが出た途端に自分の顔に大きな波が襲ってくる。ライフジャケットがあれば浮くと言うが浮くのはジャケットの方で身体が下から抜けていきそうになる。自信のある水泳だがいつも泳ぐみたいには動きがとれなかった。慌てて脇を締めてジャケットの上に乗ったら少し動きやすくなった。
    「ぺっ」
    苦い。波が高くて口に入る塩水なんかは今はどうでも良い。周りを見渡すとかすかに光ったように見えたものがある。オレンジ頭とジャケットの黄色一つを頼りにそっちの方へ手足をばたつかせて泳いだ。本来の自分には泳ぎに自信があっても思ってる以上に服も靴もゾロの邪魔をする。おまけにジャケット自身も助けてもらってても邪魔だと言いたくて仕方がない。自分じゃ判ってなかったけどナミを助けるために邪魔なのだ。
    「くそっ邪魔だ」
    足を使ってサンダルを脱ごうとしたが、マジックテープのせいで思うようにいかない。逆に自分の体が沈みかかって諦めた。
    その一瞬でまたナミを見失っていた。

    何処だ。
    あいつは何処だ?
    左右に頭を振った。

    何故だろう?導かれるように荒れていた波間にいきなり穏やかな平面が広がって、ナミのライフジャケットが僅かに発光していた。その下に真っ白なパーカーが広がってる。

    もう少し。少し慣れてきたから泳ぐように浮くようにと自分の移動方向へ体を向ける。何故か波は今、静かになってる。
    まるで誰かが守っているみたいだと後からには思えたがその時にそんな余裕はない。
    思う方向へ自分の手が伸びた。もっと、もっと、と足は漕ぎながら更に欲しい物を手にしたくて手を伸ばす。

    これ以上連れて行かないでくれ。
    俺が伸ばした短い腕がナミのジャケットの肩を捕まえた。答えがない。だが、顔が上にある。息してるか?
    そのまま引っ張る。手の中に寄せると言うよりは動かないナミに自分が引き寄せられた気がする。
    ナミの顔は今丁度上を向いていた。

    「おい、ナミ!しっかりしろ!」
    返事はない。
    「おい!」
    「ん・・」
    良かった!動いた!これなら判る。ちゃんと生きてるな!
    「起きろよ!早く戻らないと俺たち・・・!」

    ゾロは周囲を見渡してはっとなった。霧がどんどん濃くなってる。そして・・ゾロの視界に自分たちの船がいない。

    そんなに時間を掛けたのだろうか?そんなはずはないのに船が見えなかった。
    雨は止んできている。だがこれは霧なのか判らない。視界がもの凄く悪い。
    空気が寒い、冷え込んでいるような感じだ。

    ぞっとした。
    このまま帰れなかったら自分もナミも死ぬだろう。飛び込んだことを後悔する気持ちは微塵もなかったけどただ困ってしまった。

    ゾロ自身遠泳にはかなり体力の自信はある。ナミを連れたとてなんとかするだろう自信も密かにある。
    だが方角がさっぱりわからない。
    (今は島から10kmくらいね)
    ナミがそう言っていたのはこの嵐の少し前だった。耳に残っているナミの言葉が一つ一つ浮かんでくる。聞いたものは再現できる。自分が聞いてないモノは何度言われても判らない。それがゾロだ。
    船か。距離だけならもとの島まで泳げと言われても何とかするけどなぁと考えても、いつもなら何となく判ったような気になる自分の進行方向がさっぱりわからない。
    幸い水は少し静まりつつあるようで波が小さくなってきた。
    おそらくは方角についてはナミの方がマシだろう。

    「おい!起きろ!このままじゃ二人とも遭難だ!」
    揺するとがぼっとナミが水を吐いた。ゾロに捕まり少し咳き込んだので一緒に沈みかけて少し慌てた。
    「あ・・・ゾロ?」
    「おう、起きたな」
    「ここ何処?」
    「海の上だ」
    ナミの反応は妙に冷静だった。ちょっと肩すかしを食らったような感じがする。もっとうるさい、いわばパニックを起こして叫ぶような女のイメージがあったせいだが今はありがたかった。
    「・・落ちたの?」
    「落ちたのはお前だ。んで船からも離されちまったらしいな」
    「船は?・・判んないの?ゾロの迷子」
    「誰のせいだ!」
    「嵐よね」

    ナミは暗い中、周囲を見渡していた。
    見えない遠くを見ているような目つき。ゾロを見ていない。なんだか暗い中で妙に光ってて普通と違う目つきでこれはちょっとこれも逃げたくなる。ナミはじっと目をこらしてゾロの背の方向を指した。
    「あそこに行って。海流があるかも」
    「?」
    「船内に貼ってあった海図、見なかった?」
    「んだと」
    「海流の図の載ってた奴。海の道って書いてあった海流が全部ラフテルに向かってた」
    「?」
    「あの速い流れ・・あれにのったらとりあえず島まで一気に行く」
    「?」
    ゾロの頭には全くわからない話をナミが謳うように口にする。
    闇の中で光ったような不思議な眼をしたナミは遠くを見つめていて・・ゾロの方をくるりと向いた。
    「泳げる?」
    「お、おう」
    「行く?」
    ゾロはナミの指さす方を見た。
    「俺にはお前の言ってることはさっぱりわからねぇ、けどここで死ぬ気はねぇ」
    ナミは微笑んだ。ちょっと怖かった。
    「あたしもよ」
    だがこれはナミだ。だから俺が何とかする。

    もう一度二人のジャケットを確認した。これこそが命綱だ。
    ナミの指示に乗って言われたところまで移動しようとしたゾロの目の端に白いものが見えた

    「なんだ?あ」
    浮き輪だ。
    飛び込んだときに確か一つ一緒に持ってきたはずだった。だが波の間でそれは見失った。
    「ありがてぇ!」
    だがナミの反応は鈍い。
    「泳いで」
    「だから何処だよ?」
    「あそこ」
    浮き輪を無視してるナミの手を取って絡めさせた。互いの腕が浮き輪に捕まっている。体重を掛けると沈みそうになるから捕まるだけだ。少し泳いだところで浮き輪が身体ごと引っ張られ始めた。移動した目安もない今は判らないが明らかに動いている事は判る。
    仰向けになって呼吸を確保する。泳ぐと言うよりは運ばれている感覚。抵抗しないで身をゆだねることにした。

    雨も止み、雲はきれてきている。追い風となった大気も2人を運ぶのを手伝うようだ。
    ゾロにはどうなっているのか判らない。最初、流されていたように感じたが、空と海しかないこの場所で自分の位置などすぐに判らなくなった。
    水は少しずつさっきより少し暖かいが少し足先の感覚は麻痺している様にも思う。長いこと水に浸かっているのは良い事じゃないんだろう。
    「不思議海だな」
    もう一つ不思議なことにいつもは煩すぎるナミの返事がなかった。
    「ナミ?」
    浮き輪に捕まったナミの白い手がゆっくり解けてゆく。
    「おい!」
    ナミの瞳は閉じている。頭が下がり始めた。
    慌てて浮き輪をナミにかぶせる。海流に乗りながら脇の下に入れさせてゾロは後ろからそれを羽交い締めにした。

    ナミは生きてる。
    呼吸はしてる。心臓の音はゆっくりと。一応動いてる。
    くっついているからそれだけは判った。



    どれだけの時間がたったのか判らない。
    チョッパーの顔もバーちゃんの顔も何度も水の上に浮かんでは消える。
    圧される波の力が少し弱まってきた頃、視界の端の水平線にぼんやり黒い物が浮かんでみえた。
    「島だ・・・・・・」
    波は緩やかにあの島に向かって、そしてもう少しで左右に分かれる。
    「島だ。おい。起きろよ」
    ナミは起きない。ただ仰向けに浮いているだけだ。
    決めた。
    ナミを抱えてゾロは島に向かって抜き手を切って泳ぎ始めた。片手にはナミを連れてゆっくりと。

    浜があったのでそこからあがった。浜辺の砂が重く堅くて痛い。海ではしんどかったけど靴を脱げずにすんでよかったと思った。
    浮かんだ半月の月の下、浜の少し奥に白い建物が見える。
    どこでもいい。
    ナミを背負って歩いてゆく目標になった。








    ゾロは思い出せる限りのうちで、説明できるところを訥々と語った。
    恩着せがましいことなど苦手だし、自然、説明は短くなる。
    「ふぅん。あたしって凄い。感謝してね」
    「あーあーはいはい」
    ニコリ微笑んで下から見上げるこの図太さはナミだ。だがゾロはもう腹も立たないくらいに慣れた。慣れを通り越して普通だと思っている。
    心は気持ちの良い奴だとは判っているつもりだ。

    少しずつ太陽が昇ってゆくごとに日差しが強くなっている。見渡す限りの海には舟影もない。
    「それよりさ、せっかく助かったんだから」
    助けを呼ぼうにも、手段が判らない。
    「発煙筒とかもないし、携帯も・・」
    「もってねぇよ」
    「それにああいうのって濡れたらパーでしょ」
    命は助かった。さて次はどうすればいいのか。

    他に小屋の中に何か無いかを探しに戻ってみた。
    あるのはもう少し乾パンと燃料ばかり。
    昨夜萌えた炭が転がっている。ナミはその一つを指で転がした。真横でゾロがちょっとびくっとした顔でナミを見た。
    「あ・・えっと・・・すまん。昨日は。冷たくなってて、その燃料あったし。ライターも使えたし。一応、見えないようにしといたんだが・・」
    「たき火ね?だからいいってば」
    ナミは苦笑する。
    「お前、冷えてたし、俺も寒かったし、その・・。なんだ・・くそっ!」

    ナミの笑いは変わっていた。ぼそぼそと低く言い訳する小さい声に微かに覚えがある。夢うつつにぼんやりした意識の中呟かれていた言葉。抱えられていた自分の身体。何よりも体が覚えている。
    ゾロの顔が何度も近寄っていた。その体温を感じていた。

    『大丈夫だ』

    大丈夫だとだけただくり返す声を耳元で聞いていた。
    抱えられた体も背中も暖かかった。

    夢の中で遠くに薪のはぜる音がしていた。煙の臭いがしていた。熱は背中が感じていた。それよりも熱い自分を抱える人のぬくもりだけを覚えてる。
    炎の怖さは感じていなかった。ただそれよりも相手の肌の感触を覚えている。
    ゾロの体温と声。身近に感じていたそれは朝思いだしたよりも、今の方がよりはっきりと甦る。
    より記憶がはっきりしてきた。

    「うん、おぼえてる。ゾロの腕の中で。大丈夫だったよ」
    うっすら赤く頬を染めていうナミを見てナミの白くてすペッとした柔らかい肌をゾロも思い出した。普通ならあんな事はしないし悪気があった訳じゃない。
    ゾロは耳の先まで真っ赤になった。
    二人ちょっと、互いを見られなくなった。


    「・・・・・しょーがねぇだろ」
    「うん。しょーがない・・だよね」
    ナミの顔も真っ赤になったままだ。

    「けど!でもね!」
    これだけは言わなきゃ。
    これだけは言わないと判ってもらえない。
    両手をきゅっと絞って声にする。

    「あたし怖くなかった!」

    必死に絞り出した声は思ったより大きな声になっていた。
    その声に驚いたようにゾロもぴくんと身体を固めていた。
    「ゾロがいてくれて・・だから・・」
    声が少しずつすぼんでいく。勢いが少し恥ずかしくて声と一緒に身体も小さくなる気分だ。ゾロの返事が欲しい。なんか言ってくれないと溶けてしまいそうな気持ちになる。


    「そうか」

    帰ってきたのはたった一言。
    帰ってきたのはぼりぼりと頭を掻きながら照れを含んで頬を僅かに染めた笑顔。
    それで充分だった。






    「本当に良いのかよ?」
    残りの燃料炭はいくつかあった。使える大型のライターもある。これがあるから俺でも火をおこせたんだとゾロは笑った。
    しかし、薪がそうある訳じゃない。生えている椰子の木は生木だからあまり燃えるようには思えない。

    ナミが砂浜に炭を持ち出して二人で侃々諤々やっている。目の前の海の静けさとそぐわない大声のやり合いになったが、ナミの提案にゾロの方が腰が引けていた。
    「でも、のろしが一番遠くに伝わる通信手段でしょ?」
    「・・・大きな火だぞ。本当にいいのか?」
    返事の代わりにナミは笑って見せた。
    「けど数日助けが来ない場合も考えないといけないのよね。食料とか。魚も生は恐いしそっちにも火は要るし」
    「よくまあ色々良く考えつくよな」
    溜息をつくようにゾロがこぼした。本当にここまで良く回るものだとあきれを通り越して感心する。
    「だってあたし、頭が良いから」
    あまりにサバサバと言うナミの言葉は傲岸な感じはなく自信を伝えるだけだった。
    「へぇ。そうかい。」
    「何?あんた成績悪いの?医者の息子って言ってなかったっけ?」
    「孫だ」
    「跡継ぎなの?」
    婆ちゃんはあと百年くらい持ちそうにも見えるし、俺には何も言わなかった。そう言うことは周囲の方がうるさいばかりだ。

    それでもナミの顔色が戻ってきた事には感動した。脈の取り方とか呼吸の見方とか、最低限だと婆ちゃんがたたき込んでくれたことに感謝した。命を救う、そう言う仕事は悪くないと思えた。

    「そうだなぁ、今まではしなくていいっていわれてたけど・・やってみるか」
    「なにを?」
    「決めた。俺、医者になる」

    ゾロの瞳は真っ直ぐだった。
    ナミはゾロの事情は知らない。けどゾロの本気は判る気がする。何を言われても気持ちを変えない奴だとも判る。だから素直に頷いた。

    「そっか。じゃぁうんと勉強しないとね」
    「だな。お前、帰ったら勉強教えてくれよ」
    「待ってよ、あんたの方が年上でしょ?」
    「けどなぁ。俺、今はクラスで三番だから」
    「?あたしと一緒じゃない」
    「下から」
    「はぁ?」
    「だから三年くらいからやり直さないといけねぇな。ってことで教えろよ。駅が同じだからお前んち、近そうだし、あ、だけど剣道の時間は減らす気はねぇぞ。こっちも大会が待ってんだ」
    「あんたねぇ、何?あんたの都合の良いことばっか考えてんのよ!」
    二人ともここがどこだか今ひとつ現実感を忘れて相手の反応に真剣に向き合ってた。

    そんな時。低く響く汽笛の音がした。


    この空と海なら遠くからでも音も気配も届く。
    「あ!」
    水平線の遠くに船が見えた。
    「サニー号だわ!」









    「ナミさぁん!!!!」
    ビビが千切れそうに手を振ってる。
    その横に大きな姿が二人見えた。
    ルフィもサンジもウソップも飛び跳ねているのが見える。
    サニーの碇が途中で降ろされて、艀につながれた。待てない勢いで縄ばしごを皆下りている。そのまま海に飛び込んで浮かんだ頭が次々に走り寄る。泳げないルフィだけはロビンに捕まえられてジリジリと待たされた。

    何を置いても飛んできたビビはそのままの勢いでナミにかじり付いた。
    「よかっ・・・・生きて・・・ナミさ・・・」
    「大丈夫!ちゃんと生きてるわ!もう馬鹿ね、ビビは泣き虫なんだから!」
    「なによナミさんだって鼻水たれてる!」
    二人笑いあった。
    生きている。互いに。世界が輝いて見える。
    「よかったわ。無事で、本当によかった」
    ロビンがビビの後ろから現れて、涙ぐんでいる。ビビとロビンが互いに目を見交わして微笑んだ。
    「本当に、よかった。二人ともよくここにたどり着いててくれたわ」

    ナミはあれっ?と驚いた。
    二人の間の棘が無くなってる!?
    ナミは驚きと同時に嬉しくなった。
    あたしが大好きな人達が互いに微笑んでる。ナミの周りでもっと世界は輝いた。

    「ビビ、もしかして・・?」
    「ええ」
    ビビは潤んだ瞳をしっかと輝かせて頷いた。自信に満ちた笑顔。あたしの大好きなビビの笑顔!
    「ビビ!おめでとう!!よかった!!!」
    ナミはもっとビビをしっかり抱きしめた。
    「ナミさん!」


    更に堅い抱擁の後ビビが嬉しさと不思議をあわせて聞いた。
    「でもどうやってここまで?」
    「あのね、ゾロがね、連れてきてくれ・・・」
    ナミが振り返るとゾロは男子陣に小突かれまくってた。
    「ゾロ!やるじゃん!」
    「泳いでラフテルに来たんだな!それもナミを連れて!」
    「馬鹿が!泳ぎ自慢もいい加減にしろ!」
    三者三様に突かれて黙って軽い拳や肘を受けていたゾロはぼそっと呟いた。

    「いや、あれは俺も落ちたんだ」
    「ああ?」

    「おいおい。何処の馬鹿が浮き輪持って落ちて、嬢ちゃん連れてここまで来るってんだ?長鼻にみんな見られてんだぞ」
    フランキーが思い切りからかいを含んだ笑みを浮かべてサニー印の浮き輪を手にぶらぶらさせている。
    それに答えるのは嫌だったらしいゾロはそっぽむいて答えた。
    「けどラフテルまで行けるって言ったのはナミだぞ」
    「え?」
    皆がナミに視線を集めたが、ナミは眉を顰めた。その顔に思わずゾロが抗議の声を上げた。
    「本当だぞ。海流があるからって」
    「本当にここがラフテルなの?でもあたし覚えてないのよね」
    ナミが覚えているのはこの島からの記憶。おぼろげな炎。
    海の記憶はない。

    「ここが・・・・ラフテル・・・」

    透明な風が砂地を渡る。空の蒼と海の碧のざわめきが世界を作ってる。ルフィがあれほど行きたがった島。
    本当になんて綺麗な島なんだろう。

    見渡しながら呟くナミの横でゾロはまだむくれたままだ。
    「俺に地図が判ると思うな」
    「あ、あ~それはゾロには、むりだな」
    威張りくさったゾロにウソップが横から突っ込んだ。ゾロが驚いた顔をしていると皆はにやにや笑ってる。
    「今頃気付くなんてゾロも鈍いな」
    「迷子ってのは周囲に気が回らねぇから」
    ルフィとサンジが肩をすくめる。ウソップはにやりと笑った。
    「ウソップ!てめぇ!」
    今度はゾロの方が嬉しそうにウソップを小突き始めた。
    「止め・・ゾロ!お前は・・い、痛いんだぞ!」

    「外傷から来る健忘かしら?それとも恐怖?」
    「落ちたのが嬢ちゃんで良かったてことか。でも恐いことなら忘れてる方が良いだろ」
    「とにかくナミさんが無事で本当によかった!」
    ロビンは腕を組み顎に指を寄せた。隣でフランキーが答えてサンジも歓声を上げる。

    「よっし!ナミもゾロも助かったし」
    ルフィが大きく声を上げた。

    「さあ行くぞ。本当のラフテルへ」

    ルフィは今こそ拳を天に突き上げ満面の笑みでニカッと笑ってみせる。

    「ええ?」
    フランキー以外の全員が驚きの声を上げた。
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