蜜柑狩 '13ナミ誕
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    ☆楔 (ナミ)

    2010ナミ誕 ] 2010/07/01(木)
    海賊王になりたいというゴム人間と万年寝太郎の迷子と。正体がわかってしまえば何のことはないただの男達とこの数年のうちの常には思えぬ時間を過ごしている。
    あんな男なんてどこにでも居ると思うのに。知ってるはずなのに気がつけば私が笑ってる。

    だって、あまりにアイツら馬鹿なんだもん。笑ってやらないとどうしようもないじゃない。
    宝を手にしてもあっさりとその半分を他人にくれてやったり。ただの他人の夢を追ってやったり。仲間と見込んだからってそいつの敵と死にそうになりながら戦うなんて。ましてやこの私が特にもならない怪我までして参戦してるなんて有り得ない。
    だから私はわざとアイツら馬鹿だしと笑った。
    そうじゃないと心から笑ってしまいそうだった。私が笑うことに何かの意味を与えないと今までの私が保てないと感じてた。


    「なんだ?ウソップもルフィも潰れたのか?」
    「なんやかんや言ってもこいつらガキよねーー。こんな軽い酒ばっかで潰れるなんて!お陰で貰ったお酒をこっちが充分堪能できるってモンだけど! けどさっすがお嬢様! 保存用には良い酒積んでくれてるわよ!あんたもこっちの良い奴少しやる?」
    「おう」
    今までの航海は船が小さすぎて水と食料が限界、趣味レベルの酒まで積めなかった。そうじゃなくてもこいつらお金持ってなかったし。
    かなり飲めるらしいゾロは飲み仲間としては良かった。こちらに関わらず勝手に自分で良い感じにご機嫌になって、私に詮索もしない。ただ一気に小さめのグラスを空けて、良い顔で頭を振ってる。
    「うめー!辛ぇ!」
    「でしょーー!?この辛みと奥の深さが判るなんてあんた中々やるじゃない」

    お世辞抜きで酒は美味しかったし、酒の旨さが判る奴は嬉しかった。
    その共感に心の箍が少しだけ、ほんの少しだけ、私が警戒心を抱かない程度に弛められてしまったらしい。

    共感は心に緩みを作る。
    しかもアルコールは本人の知らぬ間に緩みを見つける。
    一番の問題は私が彼に、そして彼らに緊張しなくなったと言うことだった。気を張らない旨い酒。緩んでしまうにはこれ以上の物はない。


    「本当に旨ぇ」
    「よねーー!」
    乾杯のつもりか手を挙げながらふと相手の顔が間近にあった。アレ?と思うと視線で全身が固まっていた。言葉も忘れてただ見合ってしまう。相手の瞳ばかりが大きく見える。紅潮して見合った瞬間、瞳と瞳の間にあったはずの垣根は消えていた。
    相手の中が奥まで見える気がする。同時に相手に内奥まで見られている事も判てった。その頃には隠すよりは相手への興味が勝っていた。見られている事が恐怖どころか興奮を呼ぶ。更に相手の中をもっと見たくて知りたくて、共感が取っ払った垣根は視線だけじゃなく気がつけば肉体に及んでいた。


    ゾロの唇が自分に重ねられて。
    それが快感すぎて自分が欲しかった物だと始めて気がついた。
    柔らかく私を浸食しむさぼって私の欲をなぞってゆく。もっともっとという声ばかりが自分の耳に聞こえる。酒が理性を緩ませたと意識が気付いたときには遅すぎた。
    唇の間から舌が割り込まれた快感に自分の唇が相手をむさぼっていた。
    相手の唾液はもう潤滑油にしか感じられない。自分の唇が変質するその柔らかな快感を。絡め取られた舌が押して押されて受ける快感を。これ以上は危険だと身体の一部で発せられた信号が遠くに見える。見えるのにまるで他人事だ。彼の口腔から受ける快感に押しつぶされてその危険信号はあえなく現実の感覚の末端に押しやられてゆく。常に居る冷静な自分がこの時ばかりは何処に行ったのだろう?全く気配も感じられない。

    いつしか彼の唇が口腔から離れて自分の首筋を舐め、圧し、吸い付いているのを心地よすぎる快感と感じている。
    1ヶ所・・おそらくは窪みとなった正中の首の辺りを強く吸われることに恐ろしい程の快感がこぼれ始めた。
    その快感は私の胸にある両の突起のその先端まで甘く溶かしていた。そしてそこからつながる深い中心の泉へも。

    「・・・ゾ・・・・ロ・・・」

    甘くほんのささやかに零れてしまった声。
    だが零れた声にそれまであくまで流動的で動的だった二人の動きがホンの一瞬止まった。

    ホンの一瞬。
    けれど二人を醒ますには充分な刹那の楔だった。



    風の音と波の音、そしてそれを圧するような若い二人のいびきが私達の耳に届いてしまった。



    声を出したのは私の方。
    驚いているのは二人とも。
    でも私の片腕が軽く自分の襟元を抑えていた。
    「あ・・ルフィ、起きちゃうんじゃない?」
    ゾロは何も言わなかった。ただ彼がまだ私に触れていた部分をぎゅっと押したので私はそこから手を引いた。ホンの数mm。薄いベールのように薄い距離を。
    「・・・・・ウソップも寝相悪いみてぇだな。」
    ゾロが溜息と共に答えた。
    垣根が戻った。



    全身が別離を悲鳴のように感じていたのでそっとそれらを押し込んで封印することにした。そうじゃないとこいつらとの別れが辛くなる。
    戻った理性に舌打ちする自分と叱咤する自分の隙間で、埋められないなにかが生じていたのはこの頃からだ。



    ・・・・・・・・・・・・
    シロップ村を出た日の昔話で。
    またお預け。

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    ☆薔薇月 注あり

    2010ナミ誕 ] 2010/07/03(土)
    ごめんなさいこちらは18Rにさせて頂きます。短いモノですが物理的に挿入シーンがありますので。
    今回のナミ誕の成分のその他5%はここの事で「immoral」つまり不道徳になります。
    つまり、ナミさんの相手がゾロじゃないと絶対駄目な方は不快になる恐れがあります。
    でもゾロナミ傾向です。


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    ☆星見 (ゾロナミ)

    2010ナミ誕 ] 2010/07/03(土)
    「グランドラインに入ってショックだったのはね、この私の航海術が一切通用しなかったって事なのよ。」

    カランと涼やかな音が夜空に響いた。ナミは嬉しそうにひんやりとしたグラスに刺してあったストローを唇で取り出して上下に振っていた。先に付いた雫が俺にも一つ二つ飛んできてた。だが肩に届いた頃には温度も気にならない。
    星を讃えた夜空にぬるい風。今の海域はぬるいまま安定しているから側にあるのは春島か季節が春な島なんじゃないかとさっきナミは言ってた。
    反対の手でつくった細い拳で人の額をグリグリと楽しげにこすってる。ここに来るなりグーグー寝てたあんたに解説したって無駄でしょうけどね と持ったグラスと咥えたままのストローのせいで借金を背負わせるときのようなニヤッとやや凶悪な笑顔になってるがそれでもなにより嬉しそうだ。
    「普通のコンパスは一切効かないし、地形によって変わるはずの風は所構わずいきなり吹くし。風がそうなら波も気まま。海流はあっても法則もないからいきなりログポースと反対に向かって流れてたりするし。そして何よりあせったのが星よ。」
    「星?」
    自分の声がけだるそうに答えてる。その声がこの体勢だと結構隠って洞窟の中のように響く。

    「グランドラインに入る前にはタカをくくってたのよね。だって、地図が無くたって、もしかしたらコンパスが効かなくたって、空は変わらないと思ってたもの。」
    「変わんねぇだろ?」
    「当たり前よ。同じ星から空を見上げてるのよ?空が変わるなんて誰が思う?」

    酒に酔った訳じゃない。だがこの暖かさにぼんやりした頭はあまり働いてない。
    眠ってる訳じゃない。ただナミの声が歌うみたいに聞こえてる。
    考えるとかそう言うことも面倒で、ただ上から響くこの声を聞いていたい。

    「んなこと思ったこともねぇ。」
    右なら右だし北なら北だ。で、星は星。それ以外の何者でもない。
    「あんたは特にねーーー」
    ナミはあはははとストローを咥えたまま笑ってる。
    「でも判ってきたわ。やっぱり海流の大まかな流れはログに従ってる。行く先と方向が違うから当てにならないの。けどログを外れると元に戻るのはかなり厄介なのよ。他のログにもたどり着けない。そうじゃなくてもルフィは決めた道から外れるの嫌みたいだし。」
    「ほーーー。」
    ルフィの名を聞いて柔らかい枕を少し触ってみると軽く身動ぎしかけてすぐに受け入れた。一瞬緊張してすぐ弛緩して、今は受け入れてる。表面もはするりと奥はくにゅっとどちらも柔らかい。
    「今は星の位置なんて大まかに廻った量が判るだけ。だから今この時期にこれなら多分もう少しで半周できるとはぼんやりわかるけどね。」
    ナミは空を見上げてる。大きな胸の向こうに真っ白な首筋のラインが、その上に星空に鮮やかに浮かんでいる。
    ナミはストローをグラスに戻し、そのグラスごと手を下ろした。その白い腕の動きが視界の端でもやっとした残像になる。その手にもゆっくり触れる。自分の意識もややまどろんでいる。妙な意識も欲もなくただ触れる事だけを繰り返す。

    「でも」
    白い両の手がゆっくりと俺の顎の線に添えられた。
    「海で星を見ることがただ楽しむ為だけになるなんて思わなかったなぁ。」

    歌うように弾んでいた声が少し落ち着いた色合いを帯びる。
    指がなぞる腿の柔らかさと頭の下の暖かい触感は捨てがたかったが、俺は上にむけて左手を伸ばした。

    「ナミ」
    「ん?」

    ナミの後頭部をそっと抑え軽く下に誘う。促した動きにナミは一切抵抗しない。ゆっくり引き下ろすと柔らかいナミの身体ごと頭が降りてくる。
    ぐっと顔が近付く。闇の中、からかうように目が金に光った。口元の微笑みは身体のように柔らかい。
    「空に星、下にあんた。こんなおまけも付いてくるしね」
    「黙ってろ」

    互いの視界は遮られて閉じた瞼の後ろに星がひかる。




    この船に乗るまで星は星でしかなかった。
    だが今は違ってしまった。
    星を見、星に見られて俺たちの日々は過ぎてゆく。


     

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