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    蜜柑狩 '13ナミ誕
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    空と海の狭間で-10

    2007ナミ誕 空と海の狭間で ] 2007/07/23(月)
    「着いたぞ~~~~~!」

    空は青く澄み渡り、爽やかではあるが熱い風が頬をなでていく。風の行き先では椰子の木の葉がざわざわ揺れている。まだ青いけど大きな実が小さな実がついている。
    真っ白なビーチが島の左手に広がってその先にバンガローが見えていた。島の側、海は碧い。エメラルドと称されても良いくらいの海の色。家の近くの海とは色相が全然違う。同じ海だなんて思えない。
    誰もが興奮も嬌声も抑えられない。ルフィは降りる前からヘッドやマストに登ろうとして怒られていたし、やや老け顔で並べばちょっと大人なゾロですら童心に返った目が輝いている。

    もちろんナミはさっきのゾロの言葉には腹も立ったけどこんなに素敵な光景が広がってるときにそんな顔なんて見たくもない。頭の中で奴の顔を踏みつけてる自分を想像して下がりきらない溜飲を下げて忘れることにした。

    真横のビビの顔も紅潮している。どうやらさっきの真っ青な顔は船酔いだったみたいで、もらった薬は効いてるみたい。今は吐き気もなさそうだ。小さいルフィがビビを背負ってきたときにはびっくりしたけどビビはビビで何かに怒ってる様子だ。ビビが怒るとへそが曲がって黙るから今は詳しく聞きにくい。けど元気みたいだから良いか。
    「あそこに泊まるのね!?」
    バンガローは南の島特有の平たい天井だ。嵐に強く風にも強い。そしてそこから平らにのびた茅葺きの庇が良いアクセント。緑の中に浮かぶ建物に遠くには縄が見えたり熱帯樹の間の高台には広場も見えた。
    誰もが当然興奮気味だ。
    静かな水面に船は滑る様に港に着いた。




    船に乗っていたのは後発のキャンプのメンバーが20人強くらい。
    入れ替わって先発の組が代わりに名残惜しげに港に待っていた。こちらはどちらかというと子供の数よりもスタッフの方が多く見えた。車椅子が今回よりも多く見える。学校に行っていない子供用に組まれたもので、内容も本当にスローな物ばかり。
    今回の参加者の半数は一見元気に見える。もちろん病後明けの子供--たとえばルフィのような子供に比重を置いているから考え方は違うのだろう。
    (何でまぜないんだろう?)
    ナミの脳裏にちらりと疑問がよぎった。

    そして思ったより沢山のスタッフも入れ替わる。全員というわけではないがボランティアの強みで弱みなのだろう。どちらにしても若い人が多いが荷物も多い。その入れ替えだけでもかなりの時間を要する。




    まずは船から皆が降ろされる。
    「俺が一番乗りだ!!!」
    ルフィが荷物を抱えず飛び出した。
    「おい!キャプテン!忘れモンだ!」
    ゾロが船の上からルフィに目がけ赤いバッグを放り投げた。ゆっくりと放られたそれはゆるゆる回転しながらルフィの手元で加速する。
    どさっっ
    「こらーーー!アブネェだろうが!!」
    本物の船長の怒声とルフィが荷を受け取ったのはほぼ同時だった。
    「いっけねぇ!逃げろっ!」
    ウソップが一斉に走り出している。続いてゾロが飛び出した。
    「だから男子って!」
    「困ったガキだな」
    サンジが肩をすくめて荷物を肩にかけてゆっくりと降りてゆく。
    同じくらいの歳でも落ち着いてる奴もいるんだとナミが見ているといきなり方向転換して船に戻っていった。
    「いけねぇ!忘れモン! 海パン!」
    三言目が聞こえて吹き出しそうになった。所詮男子。どれでも同じかもしれない。期待もしないし失望もしない。ただ馬鹿を見る目つきを前方の港に修正してナミは自分の荷物を持って降り立った。

    今まで揺れていた船の振動が大地の安定した熱気にかわり、大地から足に力が伝わる。
    海の上の優しく爽やかな風と違う大地の熱さ。けど、島を渡る風は海と同じように優しい。
    まるで島全体に歓迎されている気持ちになってナミは目を閉じて両手で風を受けた。


    「・・やっぱり居ないし」
    横でビビが肩を震わせて呟いた。
    「誰が?」
    「あの女」
    「ああ!・・ごめん。」
    海の碧さに彼女の目的とやら忘れていたことは続けなかった。ビビがまたいつもよりぴりぴりしている。
    きっとにらんだ顔はこれで結構可愛いのだが、それを言ってはもっと怒る真剣さが全身ににじみ出ている。

    ナミはその細い指でビビの広めのおでこをはじいた。
    いくらそれが目的でも、ね!
    ほら厳しいおでこをしてるけど少しマシになった。大気や温度で鼻にも島の薫りが届いたようだ。さっきの班長ルフィじゃないけど楽しまなきゃね。ナミは思わず鼻歌が浮かんでくる。
    「ナミさんこそ、もう忘れ物はない・・・・・きゃああああああああああ!」
    言ってる横から戻ってきたルフィが脹れるビビの真ん前に捕まえたばかりのオオトカゲを見せたから悲鳴と先生達の怒声で一時大騒ぎになった。


    せっかくの上陸なのにナミは溜息が出る。
    (この先大丈夫かな?)









    「まずオリエンテーションじゃー!ルフィ君は縛られとるからそこで聞いとれよー」
    「何で俺だけっ!」
    「やかましいっ!脱走する猿には縄がいるんだ!本来は怪我人に使う奴なんだよっ!」
    先生が一人怒ってるように見える。その横でウソップのように鼻の高い先生が愉快そうに笑ってた。
    「ひっさしぶりにパウリーの技がみれたのーー」
    「いいから!これ!取れよ!」

    すぐに開け放たれた広い部屋に集められた。ルフィは柔らかくて太いマジックテープで止めるタイプのバンドで縛られて前にいる。建物に入る前に『も』ルフィが一悶着起こしたらしい。
    「落ち着かない奴ねー」
    ナミが一くさり小声でぼやいた横でビビはきょろきょろと落ち着かずに指をかみ始めたので今度はナミが頬を指でつついた。


    「このキャンプの目的は、『決して無理をしない』ってことです。私たちは、一通り皆さんが満足できる様にメニューを組んでいますが、無理な人は遠慮無く言いましょう。今日の予定は日よけの帽子を作ろう、と海辺の散策に別れます。明日はたき火で御飯を炊いてカレーを食べましょう。食事に制限のある子達はその範囲での調理をやりますので心配しないでください。そして船に乗っての島巡りはあさってです。夜にはキャンプファイヤーもありますので楽しみにしていてね!そして一番大事なところはくれぐれも一人で出て行かない様に!それからこれも一番大事ですよ!毒を含んだ生き物も居ます。むやみに触らない様に!聞いてます?ルフィ君!・・・・」


    先生の説明が長く長く続く。
    一番大事なことがこうもあったら覚えきれないではないかとナミはおなかの中で呟いた。
    こんな南国に来ているのだ、わくわくしないわけがない。その間も窓から見えるのは青い空に南国の色とりどりの花。
    飛んできた極彩色の鳥にルフィは転がって追いかけてまた縄でスタッフに取り押さえられていた。ウソップは逆に膝を抱えたまま固まっている。ゾロは話の途中からやっぱり寝ているし、サンジはにやにやと頬を緩めてる。視線の先は女先生達。彼の評価はちょっと見直してはまた下げる。
    ナミは小声でそっとビビに内緒話をする。
    「班の運だけは最悪かも」
    「ちょっと同感」
    「あいつらには構わないようにしようよ」
    「そうね」




    「それでは担当の先生をご紹介します。ただ基本的なだけで専任って訳じゃないので何処でも誰でも声をかけてください。班の人数がバラバラですが、それぞれにあわせた決定だと思ってね」

    介助の居る車いすの子供一人とそういった物の要らないナミ達では掛ける人間のバランスが違う。
    このキャンプでは誰でも手伝いが必要なら堂々とお願いするのがここのルールだと言われて頷いた。誰でも簡単なことでもヘルパーを頼んで良いそうだ。ということはどうしても補助の必要な子供に優先的にスタッフがゆくとなる。つまりナミ達は結構自由かもしれない。決められるよりは思いやりにあわせて流動的に。生徒もスタッフも皆協力する、そのバランスが大事なのだ、と先生が説明を続けた。

    「だからといって遠慮も諦めも駄目ですよ。やりたいことは一杯頑張ってみましょうね。私達も精一杯お手伝いしますから!」
    副リーダーらしい黒髪で眼鏡の先生がだめ押しのように付けた説明で皆声の調子を上げた。

    「はーーーい!」
    「可愛い先生とご一緒なら頑張りま・・・」
    サンジの声は入ってきた先生達に注がれて続かなかった。
    「では今回の先生達です」

    入ってきた人達を見て,さっとナミの背後のビビが固まった。









    自己紹介した眼鏡のたしぎ先生が一人ずつそれぞれの紹介を始めた。マイク付きだから他の話もよく聞こえる。
    「そして最後が・・・ちょっと遅れてましたけど今入ってきてくださいました。ロビン先生です。先生は医学部の三年生です。大学の前に外国で心理学の研修も済まされている素敵な先生です。この班を中心にお願いしてありますからね。この班は6人でちょっと多い方だけどみんな身体に問題は少ないもんね。遠慮なく悩みとか気持ちの相談もしてみて下さいね。」
    サンジが芯から大喜びしている。踊れといったら天に昇って踊りそうだ。

    ナミはロビンの顔をしげしげと見つめた。
    写真よりも綺麗な感じがする。少し寂しそう?
    一瞬だが視線が合い、にっこりされてドキドキした。
    けどその反面、横のビビの顔は見るのが怖かった。視線だけでたどってみてはその気配に帰ってくるのが精一杯。躊躇いながらできるだけゆっくりビビの方を見た。
    ビビは射殺せそうな視線をわずかに下に隠してロビン先生の一挙一動を追っている。指は硬く握られて口元は真っ白になるまで引き結んでいる。


    「皆さん初めまして。ニコ・ロビンです。この四日間楽しく過ごしましょうね」
    ロビン先生は見渡した。誰も目をそらしたまま答えない。
    ロビンはそれ以上答えを待たずに続けた。
    「口も身体も固まってるみたいですね。では、私からの提案です。慣れないことをするときにはいっそ新しい役割になりきってしまうのも一興よ。ということで呼ばれたい名前で呼ばれてください。さぁ、考えて!」
    「ええ~~~~?!?」

    正直。おとなしめの美貌に静かな人だろうと思った。 それは裏切られた。
    満面の笑み。からかう様な微笑み。いたずらに満ちた瞳が紫から赤っぽい瞳に絶えず色を変える。
    せめてトラブルの無いように無理難題など言わない理性的な人だろうと思った。 これも裏切られた。

    そうしたらもう、そのままを受け入れるしかないじゃないの。



    「俺!」
    すくっと左手のつもりの肩が挙がった。
    まだ縛られてたままだった。
    「俺は船長!」
    誰の予想に違うことなく・・・ルフィだった。

    「あらあら」
    ロビン先生が後ろに回ってた。
    「さて船長さん?」
    見事な縛り方だ。二本くらいしか捲かれてないのにルフィが全然動けてない。
    「名前が付いたなら外すわよ。けどその前に二つだけお願いがあるの、聞いてくださらない?」
    「わかった!だから早く!取ってくれ!」
    「ええ、お願い。一つは先生達の言うことには必ず本気で返事をしてくれる?」
    「おう!」
    「それからもう一つ。これから何をしに行くのか必ず誰かに教えてね。この二つ」
    「いいぞ!」
    「約束よ」
    外すロビン先生はまるで手が何本もあるように見えた。

    外れた途端飛び出そうとしたルフィをやんわりと、けどしっかりとロビン先生は押さえ込んでいた。
    その技に思わず拍手が出る。
    「約束は守りましょ?」
    これは適任かも。誰もがそう思った。

    「あ、じゃぁ!俺は料理人!飯の方は任せとけ!
     んでロビンちゃんには『コックさんv』って後ろにハート付けて呼んでください!」
    そう言うサンジの方が目も腰の振り方も器用にもハートだ。
    「阿呆か。」
    ゾロは心から楽しげな二人に背を向けた。
    「好きにしろよ。あんたにどう呼ばれても関係ねぇ。」
    無礼者だ。とりつくしまも礼儀もなってない。

    めまぐるしいルフィも、まるで大人みたいなサンジも不思議だ。だけどナミはちょっと不思議な今のゾロが気になった。駅ですっきりとありがとうを言ったゾロの笑顔はどこへ行ったのだろう?
    船内でも騒ぐでなし、かといってルフィの取り押さえとかは言われたわけでもないのにすんなりやってたし。
    そのわりにあまりやる気もなさそうだし、荷物に竹刀まで入ってて運動も出来そうでおよそ病気とは縁がなさそうに見えるし。
    人のことは無礼にも程があったけど。
    何故こんな所にいるのか?



    「それから……女の子達は?」
    ロビン先生は振り向いてナミの方を見た。ナミの物思いは視線に破られた。自分は一体どう接すれば良いんだろう?ビビの手前馴れ馴れしいのも可笑しいしかといって理由もないのは本当はあまり好きじゃない。
    「えっとーー。そうだなーー。んーー、いいや。特に要らないから名前でそのまま呼んで。」
    職業名というのは面白そうだがあいつ等と同じレベルで良いの?と思う気持ちもある。


    「じゃぁナミちゃん、ね?では・・。」
    「私のことは『ミス・ウェンズデー』と呼んでください。大人の人が勝手に馴れ馴れしいのは苦手です。」
    もの凄く冷たくて鋭い声だった。

    ルフィも、サンジも、ウソップも、さしものゾロもビビを見る。


    先生は手元の書類をちらりと見直した。
    「・・ではご希望通りにお呼びしましょう。ミス・ウェンズデーよろしくね。」
    ロビン先生は初めてその右手を差し出したがビビは気付かないふりで横を向いた。
    「後はウソップ君?」
    「ほら!あんたよあんた!」
    場の変化に何となく焦ってしまいナミはそのごまかしを脇にいたウソップの肩をドンと叩いた。
    「・・!」
    彼は声も出ないほど飛び上がって脱兎のごとく逃げだそうとして転んだ。
    「え!?なんで??」
    「あー貴方はちょっと話すことが苦手なんだっけ。じゃ、話すときは私の目を見ちゃ駄目よ。石になっちゃうわ。私魔法使いだから」
    うふふふと笑う声にどうも変わった人だと思う。学校の先生とはまた雰囲気が違う。

    その笑顔にサンジは大喜びし、ルフィは魔法が使えるのか??としっつこくきいてまわって、ビビは黙って睨むばかりだった。







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