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    蜜柑狩 '13ナミ誕
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    空と海の狭間で-15

    2007ナミ誕 空と海の狭間で ] 2007/07/28(土)
    (三日目朝)



    熱帯とはいえまだ爽やかな朝露の中、外に座っている人がいた。
    その人のけぶるような瞳にもまつげにも朝露が乗っているかのようだった。
    朝露は溢れて流れる。一つ二つ。ただ静かに。

    「良い朝ですね、まだまだ風も涼しいし」
    女性に涙は似合わない。これは骨の髄まで叩っこまれた。
    「あら?おはよう。よく眠れたかしら?」
    「はい」
    「いつもこんなに早いの?」
    「早くないですよ」

    振り向いた顔は微笑んでくれてたからホッとした。先ほど見えた涙の後はない。
    ロビン先生は漆黒の髪をそっと右手で耳にかける。髪も、耳の形もきれいだ。
    店に来るどんな人よりもきれいにみえる。

    「偉いわね。小学生でお手伝いがそんなに板に付いてるなんて」
    「俺、もう6年ですよ。今朝は浜まで行ってこようと思ったんです。店の飾りに向いてそうな貝殻とか拾いに」
    「普通は自由研究用って言うわよ?」
    「それもいい手ですね。けどそんなガキみてぇこと言えませんよ」

    恥ずかしくって。サンジは鼻の頭を少し掻いた。
    ロビン先生は少し何も言わなかった。
    そしてその細い手を伸ばしてきて俺の頭をそっと撫でた。

    「あのね、サンジ君。大人にはいつか必ず成れるわ。そして少年時代にしか味わえないことも必ずあるの」

    ロビン先生の大きな目がもっと大きく見えた。

    「人生を急ぐ必要なんて無いのよ。子供の時をもっと楽しみなさい。昨日の夜の貴方はとても楽しそうだったわ」
    ゲッとびくついた表情をサンジは浮かべた。
    「あーー忘れてください!俺的にはガキ過ぎてついていけませんよ」
    「幼さも情けなさも貴方の物よ。貴方が貴方以上である必要はないのに」
    「だって・・」
    何が だって なのか説明なんて出来なくてここで俺は止まった。
    なんだか変だ。
    ロビン先生の言葉がぐるぐる渦を巻き始める。
    なんか考えるのができなくな・・・
    頭はロビン先生の手の感触だけがわかる。そこから声が入ってきた。

    「難しく考えないでね。あ、丁度良い見本が居るわ。ルフィ君のやりたいことだけやるって姿勢、あれを少し見習ってみるといいかも」

    「え”?あいつを?」


    流石に一番の問題児を見習えと言われるとは思ってなかった。手間を掛けさせない俺の正反対じゃんか。
    「あいつのせいでだと思うんだけど、俺のペース乱されまくりなんですよ。なのに?」
    ロビン先生はうふふふと笑ってる。
    「じゃぁ行ってらっしゃい、少し私達を青くさせるくらいで、貴方は丁度かもしれないわ」
    「お望みなら、考えます」
    考えるまでもないが、どうも自分のペースが狂ってるとしか言いようがないことが増えている。


    そう言って後ろ手に手を振って俺は海岸に向かった。
    ロビン先生の言ってることは簡単な言葉なのに、難しかった。









    早起きは三文の得。
    いつもなら二度寝を決め込んでノジコに怒られるけど。この早さじゃ誰も起きてないしもう一度寝るのも難しい。
    一人で散歩というのも悪くないかもしれない。昨夜のビビの事もずっと頭から離れない。どうしたらいいんだろう?

    「・・・・・あれ?」

    前庭の所に人影が居た。
    ロビン先生だ!丁度良いかも!
    けどもう一人いた。サンジ君と話してる。

    植木鉢があるし思わず隠れた。
    どうしよう?
    隠れても声だけは聞こえてしまっていた。



    サンジ君がなんだか変な足取りで行ってしまったので考えた。
    自分はロビン先生と話したいと思う?
    うん思う。
    でも何を?

    貴方はビビのお姉さんでしょって?全然気付いてなかったらどうする?

    けど、ビビのことは相談に乗って欲しいと本当に思う。いつもの彼女らしくない様子はどうしてあげたらいいんだろう?
    振り向こうとしたその時

    「おはよう。貴方も早起きね」
    「お・・おはよう・・ございます」
    先生に先を越されちゃった。

    「よく寝られた?」
    「え、ええ。でも朝はもう寝ていられなくて」
    「そう?じゃぁ一緒に散歩でもしましょうか?」
    「あ・・はい!」


    ロビン先生は聞き上手だった。
    気がついたら全然関係のない自分の学校のこととかノジコのこととか喋ってた。

    学校ついでだ。うん。

    「先生?」
    「なあに?」
    「あたしの学校の・・学校の友達がね、その・・お姉さんとケンカしてるの。お姉さんなのに年も離れててあんまり会ったことのない関係らしくて怒ってるんだけど何でか良くわかんなくて、でもそんな彼女を見るのがあたし困ってて・・・」

    説明をビビのことと判らないように誤魔化そうとすると早口になる。早口になると自分でもわかんなくなってくる。
    これ以上は先の言葉に詰まった。
    どうしよう。


    先生は少し吃驚した顔を徐々に和らげてくれた。

    「人と人の間って織物を織るのに似てるかな?」
    「織物?」
    「糸がもつれたり、解けたり。織りなおしたりも出来るけど切っちゃうことも出来る」
    「うーーん。けど切ったら終わりでしょ?・・そうか・・似てるかな?」
    「もう一つ知ってる?『山は動かないけど人は動いて会うことが出来る』」
    「ああ!『人は別れるけど山は動かず別れない』ってヤツ!」

    知ってた言葉がつながって考えるより先に言葉になった。

    あ、やばくない?
    今の状況でアタシのこの発言ってもの凄くやばいんじゃない??

    「そうも言うわねーー。貴方物知りだわ」
    ロビン先生はくすくすと吹き出してくれたから助かった。

    「ケンカもコミュニケーションよ。しないより、する方が良い時も」
    「えーーー?そうかなぁ。もの凄く疲れるコミュニケーションならやめた方が楽じゃない?」
    「その辺りは貴方にも課題ね」
    「え?」

    しまった。話題が自分にむいてくるとは思わなかった。
    火のことは先生に知られてるんだ。そうか、ノジコが書類に書いたんだ。
    けど、だって。

    「責めてるんじゃないの。けど自分のことは?」
    首を横に振る。勝とうなんて思えない。だって怖い物は怖いんだもん。

    ああなんか混乱してきた。視線をあげて先生にまっすぐ見られれば見られるほどもっともっと混乱する。
    どうしよう?どうしよう?


    その恐怖感を感じてくれたのかロビン先生はあっさりあたしから視線を外した。目の前で南の樹木がきらきらと緑を受けて光ってる。
    緊張が取れて少し楽になった。ほうっと呼吸がやっとできる。
    深呼吸で吸い込んだ空気が甘い。
    ああやっと空気が判る感じが戻ってきた。

    「ねぇ先生?さっきのサンジ君へのアドバイス・・アレって彼がご飯を食べられないのと同じ理由?」
    「・・ご飯を食べないって?」
    先生の目が暗く光った。がそれを微笑みでカバーしてナミの問いを確認しようとしてる。
    先生が知らないフリしてるの??

    ああ、サンジ君のためか。

    「貴方の気のせいかもしれなくてよ?」
    「ううん。サンジ君は本当に食べさせる。けど食べないの」
    ナミは首を横に振った。
    ルフィがサンジの皿から肉を取る。怒ったふりをしながら野菜もくれてやる。文句を言いながら副菜も。自分はほんの少しでも皆が美味しそうだったらにこにこしてる。ルフィなんて口を開けるだけ。
    「人には食べさせるのにね。もの凄くアンバランス」
    「誰かにそう言った?」
    「ううん。言わないよ。だってあたしも、言われたくない」

    ナミは空を仰いだ。
    ロビン先生もつられたように空をみあげる。
    二人とも黙ってて、最後に先生が聞いた。
    「ナミちゃん?お天気。今日はどうかしら」
    初めての島だけど。
    「多分雨」
    それだけは自信を持ってナミは答えた。











    朝食の途中に雨は降り始めた。

    スタッフの間にも微妙な空気が流れる。
    「今日の島巡りは中止でしょうか。子供達はがっかりするでしょうに」
    「仕方ない。雨のプログラムを」
    「うえにとってはおあつらえ向きと言ったところかの」
    カク先生の言葉は他の誰にも聞こえなかった。





    「ふとーーん!かたづけろーー!」
    「おう」
    二晩あければ普段ベッド暮らしの連中も、家では片付けをしない連中でも慣れてきた。
    ゾロはもとより自分のことはさせられているし、サンジも祖父のしつけは厳しい。
    中でルフィがいきなり膝をついた。
    「サンジ!ウソップ!ゾロ!  悪りぃ、おまえらに頼みがあんだ。絶対聞いてくれ」
    「朝飯は譲ったぞ」
    サンジが混ぜ返したが気配の剣呑さにゾロが聞いた。
    「おいルフィ?それは俺たちに拒否権はあるのか?」
    「きょひけん?」
    ルフィの不思議顔にサンジが横からまた突っ込んだ。
    「お前・・ちったぁ言葉を勉強しろよ。つまり・・俺たち断って良いのか?」
    「ダメだ!!」
    「おい・・・・頼みって言葉も違うだろ?」
    ウソップはひたすら頷いてる。

    それでもルフィは真っ直ぐ見つめてくる。動かない勢いで
    「聞くだけだぞ」
    「ありがとうっ!」
    「だから聞くだけだって言ってるだろーが!」




    外の雨はざあざあ。屋根に落ちる音と混ざってるその音に生のたしぎ先生(の声)は負けなかった。
    「今日は雨ですから予定していた島巡りは順延!お昼までにあがらなかったら諦めてね。その代わり映画を一つみてもらいましょう」
    大ホールに集められて、マイク無しでたしぎ先生は言った。彼女はまるで三人くらいいるのではないかと思うくらいにどの班にも顔を出してる。ちょっと声を掛けたり一緒にご飯を食べてたり。お陰で皆、彼女の転んだり壊したり間違えたりという姿も見て親しんでいる。
    誰にとっても(しかたない)と思わせる力を彼女は無意識に発揮していた。


    その中で誰よりも騒ぐだろうと思っていたルフィは黙ったままだった。



    大ホールで小さなアニメの上映は小一時間程度。
    外国の物だったらしく一杯笑えてちょっと泣ける。ドジな動物が必死にご主人様と再会する話だった。

    正直入院中に山ほどの本やビデオを見せられているのでこの程度で泣いているような子供は少ない。ただ、映画が終わってカーテンが開いて、大男のフランキーが主人公に同情しておいおい泣いてるのを見て皆で彼を慰めた。大人の男の人があそこまで泣くとびっくりする。
    そしてそれぞれに作品と泣けない自分のことを考えた。



    一時間以上経っても雨はまったく止まない。むしろ激しいままだ。
    ルフィもまだ黙って外を睨んでる。
    ゲーム機の持ち込みは禁止されているからお昼まではトランプや双六のような物を借りるしかできない。
    静かな午前だった。
    班行動もバラバラ。個人行動の方が近かった。




    「経過は良好ね。テープの貼り直しをして密封しておけば綺麗になるわ」
    「ありがとうございますヒナ先生」
    「もう杖は要らないでしょう」
    「よかったね!ビビ!」
    「先生、ありがとうございました」
    ナミとビビは正面を向いて深く頭を下げた。
    「まぁ。礼儀正しいお嬢さん達だこと」






    お昼ご飯の時間になっても、雨はまだ降り続けた。
    屋根の雨漏りを治してきたフランキーがゲンノウ片手に呟いた。
    「今日はやまねぇ。・・ガンフォールさんが泣いてるみたいだな」
    「ああ!フランキーみたいな神様なんだね!!」
    「んだと!おチビが何を言いやがる!!」
    昼食の時、先生の呟きに答えて一番小さい小四のアイサがいった言葉が皆に一番受けた。








    「なるほどな」
    「そうくるか。それだけに値打ちがありそうだよな」
    「お・・おれ・・・・い・いき・・いきたい」
    「おめぇら、もいっぺん聞く。俺に付き合ってくれるか?」
    「ああ」「ん」「お前が船長だ」
    答えた声が三つ重なった。








    「なあフランキー?今日乗るはずだったのはどの船なんだ?」
    「ルフィ?」
    「今日行くはずなんだろ?」
    「『ラフテル』・・か?」
    ルフィは頷いた。期待に満ちた顔にフランキーの胸が痛む。
    「今日じゃないかもしれねぇぞ。だいたいお前ぇ行こうにもポカばっかりやってるって?たどり着くメンバーに推薦して貰えねーぞ」
    「しらねーよ」
    フランキーは先ほど上のお達しを聞いた。
    いつものように雨や都合、何かの形でラフテル行きは消滅することが多い。だがフランキ-もここまでラフテルに固執する奴は初めて見た。あまりに一途に言うのでつい味方になってやりたくなる。
    「ルフィ?明日は昼過ぎに迎えが来る。明日の午前は何の予定もないよな」
    「ああ。けどそれが?」
    これ以上はフランキーはしゃべれない。気付よと言う思いだけで彼を見る。

    「まぁいいか。羊とライオンが居るだろ?今回ここにいるのはサニーの方だ。ライオンだな。島巡りの専属の船だから燃料も航路のチェックも準備はばっちり!・・・だけど今日は雨は止みそうにねぇな。明日ならなんとかなるかもしれねぇけどな」
    「あのさーーサンジが船を見たいって言ってんだけど、いいか?」
    「あいつが???船は喰えねぇぞ?構わんがあいつだけで良いのか?」
    「ウソップもそう言ってたし、俺も、見たい」
    「お前、船乗りになる気になったか?」
    「いや、けどあの羊は俺、好きだ。だからライオンも見てぇ」
    「じゃぁ今来いよ。昼からの作業が決まる前の方が良いだろ?」
    「ありがと!」






    午後からは作業部屋に皆が集められた。
    「今日は船は絶対無理ですね。ということで昼からは創作の時間にしましょう。粘土でも木彫りでも折り紙でもこの部屋にあるものなら好きなのを選んでね」
    ちょっとしたブーイングの中、それでもウソップの瞳が輝いた。工作室は色々な材料と工具がしまってある。

    折り紙や粘土を選ぶものが多い中、ナミは不揃いな厚みのあるアクリル板を見つけた。色はいくらか。オレンジと水色も残ってる。

    外の雨は天井に降ってから集まって、ごうごう言って落ちてくる。雨樋を通って出た屋根の水が1階ベランダの脇でサイフォンのように溢れかえって流れてる。
    それを見てナミは思いつき、ビビと、フランキーに尋ねに行った。



    「出来る?」
    「こーんなもん朝飯前だ・・だがこれを思いついた奴は今までいねぇ。お嬢ちゃん凄いな」
    「えへへへへ」
    褒められたナミはちょっと照れた。
    「線の通りに斜めに切り目を入れる。ここはゆっくりな。中心を千枚通しで開けてこっちの・・これくらいの太さはいるぞ。それから熱をゆっくり加えて・・丸く形を作る。おう!この瓶のカーブを使うと良いぞ!」
    「か・・堅いよ」
    「手がいたぁい」
    「やっぱガキだな。けどここが要の一つだ、頑張りやがれ」
    泣き言を言いながらもナミは案外器用だ。絵だけは致命的に描けないが。フランキーは面白そうに彼女の手つきを見ていた。
    「あ、できた!」
    「ハンダは?使ったことあるか?」
    「なぁに?それ?」
    「今時のお嬢さん達はよぉ」
    フランキーは頭を抱えて見せた。だが口ではもごもご言いながらも手は滑るように動かしている。
    二人の、たまたま思いついた作業に付きっきりになってくれてるところが嬉しい。
    結局フランキーがナミのを一つ仕上げるのを見てビビはまねた。
    「そうそう、おめぇは頑張り屋だな」
    「できたわっ!」

    ちょっと重いアクリルの風車ができた。色は水色とオレンジ。折り紙で作るように正方形に斜めの切れ目を入れておのおのの角を真ん中で結んだ。
    四枚のアクリルを押さえつけた軸は金属を通してハンダで付けてある。かなり重めの羽は息を軽く吹きかけた程度では回らない。軽やかと言うよりどっしり系。でも手で回せばなめらかに回る。

    「これで大丈夫?」
    「まかせろ。ちょっとやそっとじゃ壊れやしねぇよ」
    フランキーが自信ありげにサムズアップしたので
    「じゃ行ってくる!」
    二人は大事そうにそれぞれの作品を抱えた。



    部屋から外に出ると雨の強さは屋根のトタンにぶつかる雨音と反射して飛んでくる雨粒でわかる。
    「すごーーい、うるさいくらい」
    「さすがは南の島」
    雨樋は何本か降りている。出口からは豊かな滝のように水が溢れて溝に流れてゆく。
    溢れてベランダの方にも少しかかってる場所を二人は選んだ。
    ここは丁度他の誰にも見つかりにくい角度の所だ。

    風車を流れてきた水でクルクル回す。
    水車のようにクルクル来る風車は回る。
    水色とオレンジの風車が仲良く並んで雨水を受ける。

    「うわー凄い勢い!」
    「本当に風車の方が大丈夫かしら?」
    「ダメになったらフランキーに今度は作ってもらおうよ。風車じゃなくてしっかりした水車をね」

    カラカラカラカラ
    落ちてくる水を受けてアクリルの風車は回る。
    囂々と唸るような水の音にも負けないのに軽い音。
    天井に雨だれの音。
    違う音が響きあってる。

    合奏のような音を二人黙って聞いていた。

    カラカラカラカラ
    ごうごうごうごう





    「ねぇビビ」
    口火を切ったのはナミだった。

    「あたしやっぱりわかんない」
    「どうしたの?ナミさんいきなり」
    ビビは水車に顔を寄せている。水の回り具合がとても楽しそう。

    「あたしは・・・ロビン先生が好きよ」

    ごうごう言う音の間にも伝わった。ビビは動かなくなった。だから今のうちに続ける。

    「良い先生だと思うの。優しいし、きちんと話を聞いてくれる」

    ビビはまだ動かない。固まったままでは互いをみれない。

    「だからあんたもきちんと話し合ってみたら?」



    ゆっくりと、ビビの白い顔が回ってナミを見た。
    「ナミさん。貴方までだまされないで」
    ビビの声は雨音の中震えて聞こえる。

    だけどそのセリフに、もの凄く腹が立った。
    後から思ったら、なんでこの時に自分は怒ったのか判らない。なのに許せなかった。

    許せなかった。全てが。

    「自分をだましてるのはビビじゃない?」
    「ええ?!」
    「お姉さんが嫌い?なのにうちの姉貴は好きでしょ?本当はその気持ちノジコのことじゃなくって・・」
    「ナミさん。それ以上言ったら・・!」
    「言ったらどうする?」
    「許さない」
    「許さないって何よ。あんたが言ってることもやってることも凄くおかしいって気がついてる?思いこみだけでつんつんつんつんして。絶対変よ!」
    わなわなと更にビビは震えた。興奮が顔色に出る。ビビの真っ白だった顔が真っ赤になる。

    「それを言うならナミさんだって!」
    ビビの毛も逆立ちそうな勢いだ。
    「こんな事ばっかり言ってる私よりも新しいお友達の方がいいんでしょ!昨日のカレー、私と一緒にいるのをサボってお昼までずっと誰と居たのよ!」

    興奮したおりにいきなり言われたことが判らなくて、同世代相手に二の句が継げないというのは初めての経験だった。
    お友達って・・・・・・・あれはゾロでしたけど? 
    けど一緒にいたなんて言うのも気恥ずかしいからゾロには言い含めておいた。
    もちろんあいつは判らない顔しかしてなかったから念を入れた。
    それだけよ??!

      
    ところが今は自分もキレちゃってる。自分自身も言葉かばかりが混乱して説明が難しい。
    アタシはそんなことを言いたいんじゃない。そうじゃなくて・・・

    「そんなことを言ってるんじゃないでしょ!それとなんの関係があるってのよ!」
    「私の味方をするのが嫌になった?」
    「誰がそんなこと言ってるの!?勝手に話を広げないで!それよりアタシの言ってるの聞いてよ!」
    「聞いてるわ!ずっとね!」
    「あんたはずっと自分が辛い辛い嫌だ嫌だって言い続けてるだけじゃないの!何処の!何が辛いのよ!全然わかんない!」

    ビビの白い肌が真っ赤に染まってる。きっと自分もそう。
    ああ。
    互いに写したみたいに辛い顔をしているんだと思う。
    辛いよ。
    痛いよ。

    けど止めちゃダメ。
    ロビン先生も言ってた、逃げるなって。
    ここで逃げるんなら、こんな事言い出さなかった!

    「話さなくちゃわかんないじゃない。あたしにも先生にもどうして欲しいのよ?あんたの願いってさっぱり分かんない!」

    「だって酷い人なのよ!ちいさかったあたしに!会ったとき、胸が潰れるくらい辛かったわ!今でもそう!あの人を見るだけで息苦しくなるしあんな人いない方がいいのよっ!」
    「あんたちゃんと話しもしないで!いったいなにがわかるの!?」

    泣きたくなってくる。
    いいえ、今のアタシ、もう泣いてる。ビビも・・きっと泣いてる。

    なのに、どうして止まらないの??
    とめられないの! 

    「ナミさんは私の言うことを全然聞いてくれないっ!」

    ビビの声は悲鳴のようだ。
    と同時にただの駄々っ子にも聞こえる。
    こんなに辛いのに・・でもダメ。今のビビはおかしいよ!それだけはゆずれない!!




    ナミは黙った。ふうっとだけ腹から空気をゆっくりと全部追い出した。

    「ビビ。アタシは二度言ったわよ。」

    ビビには、きっとアタシが裏切ってしか見えないと思う。
    アタシは怒りにまかせて彼女が聞きたくない言葉ばかりを言ってる。
    斬られたのはビビのはずなのに、まるで自分の体中が斬られて血を流しているみたいに痛いよ。

    ケンカってこんなに痛い。
    痛い痛い、本当に辛い!!

    アタシが黙ってたらこんな痛い気持ちは感じなくてよかったの??
    自分のためだったらこんな事言いたくなんかないっ!
    痛いよ!本当に痛いよっ!

    でも。
    でも、言わずにいられない。
    ビビには、ちゃんとしたビビで居て欲しい。
    好きだから。

    大好きだから。

    「三度まではないわ」


    ナミの真剣な表情はそれ以上の反論も意見も許さない気配がある。
    ナミはきびすを返した。







    二人の風車はそのままカラカラと素敵な音を立てて根差したように回り続けていた。




    初めての喧嘩は雨の日。天もひっくり返って土砂降り模様。
    ごうごう降ってた雨が、喧嘩の後で上がるなんて。








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