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    蜜柑狩 '13ナミ誕
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    空と海の狭間で-23

    2007ナミ誕 空と海の狭間で ] 2007/08/17(金)
    この部屋を今までとは違う空気が支配してる。
    仁王立ちしたルフィの背後に掛けてあるロジャーの文字が皆に語りかけてくる。

    「諦めるな」

    諦めたら負ける。
    普通の時でも諦めたら負ける。
    今は本当に命を賭けてる。

    「諦めるな」

    壁も暗い中、何故か浮かんで見えている。





    風にあおられて船が大きく傾いて揺り返してまた戻った。重力がぐっと慣れない方向にかかる。
    足場は大きく揺れてナミとビビが横っ飛びになって壁にしたたか打ち付けられた。
    「痛ったぁ~~~」
    「大丈夫か?」
    ルフィの問いにビビが短く答えた。
    「うん」
    打ち付けたのはお尻や肩だ。二人ともさすりながら身を起こしてる。


    「決めようぜ。選ぶのは戻るか、それかこのまま進むかって事だ」
    ゾロが低い声で続ける。
    「嵐の中で止まっても船がひっくり返るかもしれねぇ。それなら前にいくっきゃねえだろ?こんなところで諦めて俺は死ぬわけにいかねぇんだ」
    だが低い声に強さを感じる。
    開き直りとも言える勝負所の勘みたいなものが今のゾロに満ちている。

    ウソップも黙って自分の手をぎゅっと握りしめた。
    小さな手だ。そうだ、まだやりたいことがいっぱいある。こんな解り合える奴らと出会えた。ビビと二人でだって話せたし、それを母にも教えてあげたい。喜んでくれる顔が浮かんだ分とても帰りたくなった。ああ俺の中にもいっぱいいっぱいやりたいことはあるんだ。
    だけど。判ってる、だけど。だからこそ。
    「もけ・・けどよ、さ、先にも進めるのか?ほ、本当な、らも、戻るとか・・やっぱと、と、止まる方が、い良いんじゃ・・」
    「止まって待つって方法もある。船を進めるってそれはこいつの我が儘でしかねぇだろ?そっちが安全と判るわけじゃなしその為にナミさんやビビちゃんまで巻き込んでいいのか?」
    サンジがその横から静かな、大人じみた声で問う。
    ゾロがぐわっとサンジの胸ぐらを掴んだ。にらみ合いにも似た緊張が皆の間を走る。
    「巻き込んだ?それは違うだろ。こいつらはこいつらが決めて付いてきたんだ。お前だって決めたのは自分じゃねぇか。ルフィのせいにすんなよ」
    「俺はな!けどよ!」
    負けないは気でサンジは言い返す。自分のことだけやればいいわけじゃない。女の子は特に守るという信念はサンジには捨てられない。
    「なら人の事まで勝手に背負い込むな。おいナミ。お前はどうなんだ?」

    ゾロの瞳の色はナミにまっすぐ向いた。ナミはさっきぶつけた肩を痛そうに自分でさすりながらゾロの視線を受けた。
    挑発的な・・お前は負ける気か?と聞いてくる瞳。この目がなかったらナミだって逃げ出したかもしれない。さっきのルフィの話を聞いてもまだ逃げたかもしれない。けどこいつ相手に、自分としてはここでは絶対に引き下がれない。なぜか強くそう思う。

    退いてはいけないとまで思う。何故かは判らない。
    けれど別の自分が聞いてくる。それで良いのか?と。戦うことを選んでしまえばその選択が正しいのかは誰にも判らない。それを今、選んで良いのか?心の重圧は計り知れない。
    引けない自分と選べない自分が揺れる。

    その時。
    ゾロの手が強く握りしめられていることに気がついた。
    もう一度ゾロを見返す。
    自分が揺れないための決意の瞳と唇。
    それをみて腰のあたりにあったビビリがすとんと足下に落ちて砕けた。

    「人を臆病者呼ばわりする気?冗談じゃない」
    「ナミさん!」
    「ビビだって判ってるわよね。あたし達のしたことはあたし達が決めたこと。だから、嫌だし、嫌だけど、こうなったのって誰のせいでもない」

    どんなことが起こっても。
    行くといったのはビビだ。追いかけて飛び乗ってきたのはナミだ。
    ナミもちょっと震えている。
    だけど、帰れなくて連絡も出来ない今、選択肢は先に進むことだけだ。


    ビビは口がきけなかった。今回の全ては自分が言い出したことだ。この島へ来ることも。この船に乗ることも。ロビンに逆らう形が自分たちをここに連れてきてしまった。それを認めるのは、この事態で認めるのはもの凄く勇気が要った。

    けど。

    ナミはそんなこと何も言わなかった。
    今回の合宿中ずっと心の隅で思ってた。今回のことは完全に自分の我が儘でしかないのにナミは嫌な顔一つせずに付き合ってくれた。ナミを巻き込んだという負い目がとれなかったビビだがゾロをきっと睨んでみてるナミの横顔の綺麗さに思わず見とれていた。

    「ね」
    ナミがこっちに振り返る。
    「ええ。私が 決めたの。」
    女の子達が二人、その頭を寄せて頷きあう。

    「わあったよ。レディーの意志は常に尊重するのが俺のモットーだ」
    サンジが肩をすくめて、ルフィがにやりと笑った。
    それに答えるようにナミとビビが少し引きつった笑顔で笑った。
    ゾロは拳を軽くゆるめた。





    「ルフィの意気込みは判った。みんなの覚悟も判った。くそっ!いい加減にしやがれってんだ!!このポンコツ船が!!今ここでみんな助けらんねぇんだったら俺がけり壊すぞ!せめて!ビビちゃんとナミさんの二人だけでも助けろや!」
    サンジが画面の乗った台を蹴り上げた。大きな音が響いてちょっと身が竦む。子供じみた八つ当たりにも似た行為。サンジらしくないというか・・。

    「なぁぐる眉・・・こっちが本当のおまえだな」
    「ああ?!」
    ゾロが嬉しそうに笑った。
    逆にその顔はイライラする。何言ってやがる?こんな時に?!
    「あっちが偽モンなんだな」
    顎に手を当てたゾロがこっちを感心したように見やっていった。
    何を言ってるのかと背中がぞわっとする。認めてもらったと言うより・・大体普通思ってもそんな事は言わねぇだろ!?

    ルフィが後ろから声に出来ず震えてる俺の肩を叩いた。
    「だよな。先生の前のおめーほんとかっこ悪ぃからなぁ。こっちのサンジの方が俺はずっと好きだ」
    言ってニシシとこれも笑ってる。力が抜ける。この二人はいったい何なんだ?
    「お前ら・・・・・今の状況判ってんのか!?」
    身体が震えた。腹の底から声が出た。思いっきり叫んで腹が立ちまくって頭がヒートしておかしな感じだ。
    なのに力は入りやすい。呼吸がいつもよりずっと楽な感じだ。
    「おおそんな感じ」
    「そうそう」
    「怒りたいときにはおこらねぇとおかしくなるぜ」
    「やかましぃクソ共が!」

    「ま、怒りついでにちょっと落ち着けよ」
    ゾロがぽんぽんと肩を叩いた。
    「んだと!」
    「今はナミがなんか探してるみたいだ」
    そういえばおちょくられている間に女の子二人の姿は見えなくなっていた。ゾロの示す指の方向に懐中電灯が揺れて小さい影がいる。
    「なんなんだ?」
    「何かはあいつらしか判らん」



    「ナミさん?ビビちゃん?」
    サンジが影に近寄ってそっと声を掛けた。疑問は大きいが邪魔はしないようにと声が小さくなる。
    「うん待っててね。いっそ違う方法を考えるとかできないかと思って」
    「違う方法??」

    操舵室の隅っこの床に二人座り込んでいた。暗い部屋で手にした懐中電灯の細い明かりを手にナミがごそごそと書類を引っ張り出してきてる。真横のビビも片付けては取り出して、書類とにらめっこしている。
    「そっち判る?ナミさん?」
    「うーーーんとここをいじったから・・あ。ここか。それで・・」
    「どうしてリセットできないのかしら?」
    「うん。ポイントはそこよね。いっそ全部をリセットできれば島に戻るか、ラフテルに再設定しなおしができるかなーーーと思うの」
    「うん」
    「で、そのスイッチか基盤とかは・・・・・・・あった!」
    「あったの!?」
    「ほら!」
    ナミの得意そうな声にビビは疑問を抱かずにはいられなかった。
    「え??こんなところに??」





    窓の外の音は船内にも響いてる。
    「本当にあるのか?」
    ルフィが聞いた。
    「って書いてあるのはこの説明書でしょ?」
    強制終了のスイッチが船の外にあるという。
    「なんで外なんだ?」
    「あたしがしるか!」
    全員の頭がナミに覆い被さるように集まった。書類を見てもちんぷんかんぷんなところもいっぱいある。この暗い中で良くまぁこれだけのものが見つけられるとは。
    運はそんなに悪くないかも。

    「でもやってみるならこれでしょ。ダメモトよ。けどうまくいったらみんなに貸し一つね!あたしは高いわよ!」
    ナミは意識して明るめの声を出した。






    サンジがガチャっと戸を開けた。思ったより雨は小止みだし風も弱まっているように思う。それでもこんな時に外に向かうのは勇気が要る。
    ナミはナミで(あんた達で行ってきて)そう言って逃げてしまいたかった。
    けど何度説明しても判ってくれないし、とナミは諦めた。重いドアを押して最初にゾロとサンジが出て行く。続いて黙ってウソップが行く。ライフジャケットの紐を締めてビビに借りたパーカーの帽子も被ってナミは最後に外にでた。
    サンジとゾロが言われた領域をそれぞれ懐中電灯でてらしてる。ビビと泳げないルフィは背が届かないからとキャビンに残された。

    暗いし、濡れた甲板を踏みしめながらサンジとゾロとウソップは言われたポイントをそれぞれ探している。ナミは指示係として全体が見えるように船の甲板の中程に立っている。
    「こっちにはないぞ」
    「困ったなぁ?ここもないみたいだよ?」
    暗い上に捜し物の形も良く判らない。作業は難航する。
    「その下ーーとかにあっても良さそうなんだけど・・」
    ごうっと船の周囲には強い音がする。

    「ナミさん!風に気を付けて!」
    「大丈夫!」
    キャビンから声を掛けたビビに手を振ってナミが答えた。その瞬間どうっと大きな大気の圧力が横から増した。
    大気の乱れが嵐を呼ぶ。空気の渦がほの暗い非常用電灯の光を受けて揺らめいた。

    「風っ?あんたたち捕まって!」

    ナミの声を受けて皆で姿勢を低く固める。
    風がごうっと勢いを増した。螺旋を描いて船に襲いかかる。竜巻のように大きい訳じゃない。だが船の半分を通り道にした風のうねりは風の道筋にあるもの全てを跳ね上げる。
    更に、反対から来た船に乗り上げんばかりの大きな波。

    いきなりのバラバラな衝撃に安定していたはずの船が大きく揺れた。
    サンジもゾロも自分の側の手すりを掴んでしゃがみ込む。

    「きゃぁ!」
    同時にナミに風と波と揺れがナミを襲った。軽いからだが巻き取られる。
    「ナミさん!??」

    甲板を走る足音がして、その後何かが落ちた音が続いた。







    突発的なごうごうと唸る風が去り、揺れは戻った。
    波はわきから軽く船をうち続けるだけになった。


    ナミの声は聞こえない。
    手を振る姿もない。

    ビビは上体を起こした。
    「ナミさん?」
    呼びかける。返事をして。

    外へのドアを開ける。
    「ナミさん??!」
    「どうしたーービビちゃん!?」
    外からサンジの声がする。
    お願いよ。いつものように笑った声で答えて。

    駆けだそうとしたらもう一度波が甲板に乗り上げた。
    「ビビ!ダメだ!」
    「ナミさぁん!!!」
    ビビの悲鳴が船内を響き渡った。




    闇の中。ナミの姿は海中にさらわれていた。











    「ビビ?!」
    「出てきちゃダメだよ!」
    ビビは開けたドアから黙って駆け出した。甲板の手すりにつかまって闇の中を覗き込む。飛び込みそうな勢いできょろきょろと。何も見えない闇の海。
    「待てよ!」
    後ろから四本の手がビビを絡め取った。
    「落ちちゃうよ!」
    「どうする気だ!?」
    「ナミさんが!!ナミさんが・・!」
    その言葉に三人が青ざめた。最後に駆けつけたウソップは手すりをしっかり握りしめた。サンジも首を伸ばして海中を見た。
    「見えるか?ルフィ?ウソップ?」
    息を凝らして探しまくる。
    「・・・・見えねぇ!くらすぎるぞ!」
    「ナミさん!!ナミさん!!」

    がたん。
    また船が大きく揺れる。風もごうごう唸ってる。

    「ダメだ!ここにいたら全員ダメになる!ルフィ!一緒にビビちゃん引っ張れ!」
    「おう!」


    泣きながら慌てるビビを三人がかりで押さえながらとにかくキャビンに戻った。
    風に逆らって閉まったドアの音が大きく響く。

    「ふう・・」
    ルフィが濡れた頭をぶるぶるっと振った。
    きっとビビが真っ赤になった面を上げた。
    「どうして!?どうして!?」
    サンジがあやすようにビビに説明を始めた。
    「だってビビちゃんまで・・」
    「ナミさん!ナミさん!!」
    ビビは興奮して手が付けられない。サンジの声も届かない。
    「ビビちゃ・・!」

    パシッッッ!
    「ルフィ!」

    ビビより小さいルフィがビビの両頬を思いっきり叩いていた。
    「お前、うるせぇよ。誰も助けたくないわけねぇだろ」

    頬は最初痛くなかった。ゆっくりとゆっくりとじんじんしてくる。
    じんじんが広がって、痛いと感じたときにはビビの興奮は少し吹き飛ばされていた。

    「判ってる!判ってるわサンジさんもルフィさんもウソップさんも悪くなんて無い!私が・・・・!」
    「おい・・」
    「やめろ。そんなこと言ってもはじまらねぇ」
    「お・・聞け!」
    いきなりウソップの声が響いた。

    「ゾ・・ゾロも・・・いない」
    「ええ?」
    「あんのクソマリモの馬鹿野郎!」



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