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    蜜柑狩 '13ナミ誕
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    「fondling」  4/3 (ナミゾロ)

    2008ナミ誕 ] 2008/07/29(火)

    「おーいゾロー!ナミさんそっちに居ねぇかぁ?」
    サンジ君の声は少しだけ高くて結構通りが良い。甲板で呼んでるのに良く聞こえる。
    足元でがらっと大きな音がした。真下の見張り台兼トレーニングルームの窓をゾロが勢いよく開けたのだろう。
    「ああ?こん中にゃぁ居ねぇぞ。」
    こっちは少し低いくせに静かに染みこむ声だこと。


    一般に共同生活が続くと、人との距離の取り方がトラブルになることもある。だがこの船にはそう言う問題は少ない。同じ空間にいても銘々が勝手なことをしていることなど珍しくもない光景だし。蜜柑の世話の時にはそこが私だけの領域とも思う。それでもたまに。ホンのたまには話しかけられたくない・・どうしても一人で居たい時間というのはあるけど、それはこの船ではなかなか望めない。仲間は皆楽しいし大好き。だからこれはただの贅沢、なんだろうけど。


    芝の甲板で騒いでいた三人が首を揃えてゾロを見上げたが首を横に振られて肩をすくめた。
    「お茶とご所望のデザートをお持ちしたんだが・・ま、いいか。今は気分じゃいらっしゃらないんだろ。おし、おめぇらには飯だ。ありがたく喰いやがれ」
    「やった!!」
    「テーブルの上に並べてあらぁ!」

    チョッパーとウソップの足音が響いて聞こえてる。遠くなる笑い声と共に食堂の戸の閉まる音がした。
    外はやや暮れかけて茜の色もやや群青に染まりつつある。コックのくせにこんな時間に菓子をたのんでもサンジ君はアタシに甘いから極上の持ってきてくれる。おそらくは食事に負担のない何かを。それにウソップだってチョッパーだって。それぞれに言うことを聞いてくれる。
     それは判ってる。
    けれどその判りやすい甘さからも今は遠くにいたかった。微妙すぎて自分が整理できない状態では心がほどよい距離を保つが面倒で。気が置けないことと甘やかされてる事の両立はなんとなくだが今は嫌だ。片づいてしまった問題にほんの少し引っかかった澱みたいな些細なのに複雑な気持ちのまま優しいみんなの前には立ちたくなかった。
    何があるわけじゃなくって。そう、ホンのちょっと。思い出すと複雑な気分になっただけなのよ。



    「おい。」

    声が聞こえた。
    ばれた?まさかね。アタシきっちり隠れてるのに。

    「おい。」

    返事をする?だって今は気配もかなり消してある。この角度だし絶対判るはず無い。

    「おい。」

    ゾロの声が上に向かって聞こえる。間違いなくあたしの方に向いてる。
    「ナミ。」


    ここは夕方の。サニー号の一番上の見張り台兼トレーニングルームの屋根の上。マストよりも上で下から見てもその影になるところにアタシは座ってる。ゾロの声はその窓の下から聞こえてる。

    答えたくない。 けど無視も出来ない。



    「にゃ」


    どちらも選びかねて細い声で返した。答えたのはアタシじゃない。ただの猫よ。
    「おい。」
    「にゃぁ」
    声は抑えながら答える。
    「泥棒猫かよ。」
    ささやかな声とボリボリと頭を掻いてる音が聞こえる。困ったときのあいつの癖だ。
    「にゃっ」
    ちょっと勝った気分。
    このまま猫でも良いかも。

    「お前が猫なら」
    繋いだ声がぶっきらぼうなのに良く通って聞こえる。
    「そろそろ降りてくるか?」

    これには答えなかった。
    ゾロのあっさりした気配がする。
    諦めたような声。

    「そうか。猫で、誰にも会いたくねぇんならそこが良いだろ。」
    ゾロはあっさりそう言った。
    「てめぇが思い出したくないことが消えたら降りろよ。」
    一方的にそう言うとカタンと音がした。手が窓に引っかかる音?ゾロ?そのまま部屋に入るつもりなの?窓の中に顔を引っ込めた気配もする。

    「ちょっと!」

    思わず言葉が出てた。ちょっと?確かにアイツらしいというかアタシの事なんてどうでも良いんでしょうけどだからって気がついてて放置するってのは無しじゃないの?
    声かけたんなら最後までもう少し絡んでも良いでしょうが。アタシがここにいるって判ってるくせに。

    動く音は止まった。そしてししっと笑う声が漏れ聞こえた。
    「おめぇ猫じゃねェのか?」

    ちぇ。
    「・・猫よ。手配書にもあるでしょ。」
    へぇって?猫だから答えなくても良いじゃない。
    猫なんだから、言うこと聞かなくても良いじゃない。

    「猫か…猫なら来いよ。」

    いきなり左手が伸びてきて驚いた。ゾロが見えてる。窓腰に立ってアタシに手を伸ばしてる。って言うかアンタいつの間にそこまで登ったのよ!?

    「なっなにっ?」
    「撫でて欲しいだろ?」
    「なっっっっっ・・・!」
    直接に誘われてるみたいな言葉にナミの頬は夕日よりも真っ赤になった。ゾロは気付いてないのか頓着せずに続ける。
    「?。猫って撫でられたがりじゃねぇか?ガキん時には触れ撫でろってノラでも飼い猫でもしょっちゅう俺ンとこきてたぜ?」
    がくっと力が抜けた。と同時にちょっとむっとする。
    モテモテでしたか、って睨んでやりたくなる。

    「怖がんな。」
    威嚇する野良猫かおびえた野生の子虎に伸ばすようにゾロはその左手を更に伸ばしてきた。
    「怖がってなんかっっ」
    「だったら来い。お前猫だろ?ここだ」
    ゾロは窓際でポンと曲げた膝を叩いた。
    「悪さしねぇからよ、来いよ。撫でてやるから。」

    想像した。
    小さなゾロの手が猫の柔らかいお腹を撫でる。
    大きなゾロの手がアタシの髪を、胸を、足を撫でる。ゾロの腕の中で。あの大きな手で撫でられる。

    ゾロの手を感じる自分の肌の触感がリアルに思い出されて背筋がゾクッと身震いした。
    かすかに吐息がこぼれる。


    「にゃぁぁ。」

    気がついたら釣られたアタシも窓の中に降り立ってた。ゾロの真横にそっと立つ。髪の毛ごとガシッと大きなごつい手に捕まえられた。
    そう言えば、何でアタシのこと判ったんだろ?

    「・・・・何があったとか聞かないの?」
    「何をだ?」
    「何か。よ。」
    「しらねぇ」
    「本当に?」
    「しらねぇ」
    「じゃぁなんでここにいるって判ったの?」
    「しらねぇ」

    ゾロの返事が素っ気なさ過ぎて。なのに声とこの手だけは優しすぎて。
    他のことも地図を読むことも、甘やかすことすら船内一不器用なくせに。

    「…何っ考えてんのよ。」
    「なーんも。」
    「あのね。何があったとかじゃないのよ。」
    ゾロは左の腕をゆっくりと滑らせる。首の後ろとか肩とかにも触れてる。全然滑らかとか慣れてるとかじゃない。むしろ不器用な動き。なのに。
    「聞く気はないわけ?」
    「何をだ?」
    訳わかんない。
    なのに心地よい感覚ばかりが理性を裏切るように触れられた所が緩んでゆく。
    何だか緩んじゃった。

    「も、いいわ。」
    しょせん自分にも判りにくいのだ。最初からどことなくもやっとしてるだけなのだから。預けた感覚はもう、身体に任せた方が良い。
    トン、と寄りかかって自分の身体ごと全部をゾロの腕の中に預けた。
    驚いたのか撫でていた腕は止まった。けれどそのまま預けた身体をやわやわと抱え込んでくれてる。
    これで甘やかしてるつもりなんだよね、この男は。
    「相変わらずね。何も聞かない。」
    「ああ?」
    全然聞いても居ないし聞く気もない。なのに私が欲しいものを持ってる。
    ただの馬鹿だから。
    だからきっとモヤモヤしてただけのさっきなのに、今はこの腕の中にいるんだ。

    もう一度ゾロの手がゆっくり持ち上がってアタシの頭を撫でた。今度はこれまで経験したことがないほど優しく髪を撫でている。
    重い黒刀を難なく振り回す無骨な手に似合わぬ、いつもにない優しい動き。
    「いつもと違う。」
    「猫だからいいんじゃじゃねぇか?やりたいようにやりやがれ。お前が猫になってケツまくって逃げたところでかまわねぇ。」

    ああ、もう。アタシの不安を思いの外優しく溶かすこの手がここにある。
    あまりの気持ちの良さに蕩けてしまう。




    猫のアタシは最後に身体を起して奴の顎から頬を舐め、唇を近く近く寄せる。
    寄せるような薄さからちょっとずつ濃く絡み始める。どんどん舌を絡めて少しアタシは上から奴を押さえつけた。

    「ねぇゾロ、今からしよう。」
    返事は低い声で小さくにゃぁと聞こえた。優しい手はもっと優しくなって本当に身体の奥が疼き始める。



    end




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