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    蜜柑狩 '13ナミ誕
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    空と海の狭間で-4

    2007ナミ誕 空と海の狭間で ] 2007/07/06(金)
    港への予約のバスがでる駅までここが始発で電車で一本。
    朝のラッシュ時を超えると人の歩みはゆっくりだ。今日も良い天気。大きな荷物を抱えて2人はゆく。

    「え?ゴールドの指定席の予約したの?何でそんな贅沢・・・。」
    「ええ・・・その・・テラコッタさんがそれじゃなきゃ駄目って準備してくれたの・・」
    テラコッタさんは彼女の家のメイド頭。不在がちな家の主すら敵わぬ女傑で彼女自身早くに母を亡くしたビビの乳母も自認している。その彼女に黙って今回の計画が進むはずもなく、結局ビビは相談という名の報告をさせられて、終いにはこうなった。ゴールドと言えばかなりな贅沢だ。
    交通費をいくらか浮かせようかと考えていたナミは頭を抱える。駅で乗車員に聞いてももう他の安価な指定席は満員だという。そのナミを見て細面のビビの顔がぴしょんとしょげかえる。
    「駄目だった?」
    せっかくの楽しい企画の最初の一歩から小雨の気分だ。

    「・・仕方ないわね。もう取ってあるんなら無駄にするの勿体ないし。でも次に黙ってやったらあたし行くの止めるからね。それからこの交通費はあんた持ちよ。」
    ビビの鼻の頭を指さし、強気な笑みを浮かべたナミにビビは心からほっとした。駅の売店で仲直りのジュースを買って二人とも堪えた後のくすくす笑いが止まらない。
    「で?その状態で本当に親爺さんにばれてないの?」
    「それは大丈夫。もう一つのレッドラインキャンプに行ってると思ってるわ。本当にノジコさんのおかげね。」
    グランドライン参加を父親にばれる訳にいかないビビは、同じような日程で同じ方向へ向かう企画を探した。そのレッドラインキャンプにナミと二人で参加というわけだ。幸い夏休みとあって同じエリアに向かう企画はいくらでもあった。
    「挨拶しといた方が良いよねー。」ノジコが言ってくれたから頼りにした。
    彼女の依頼で姉が 『若輩者ですが、しっかりとお預かりして見送りいたします』とビビの父に入れた電話は彼を感激させたそうだ。

    「それならそれで広い上等な席を楽しまなきゃ損ってもんよ!」
    彼女にむけるその笑顔の眩しさにビビの気持ちが晴れ上がった。今日の空と同じ色に。






    「で、これは何なのかしらね?」
    「さぁ。でも困ったわ」
    一等車の豪華な車内のふかふかしたシートの中に盆栽が置いてあった。いや盆栽に見えたのは彼の髪の色で、しかも座ってと言うよりは既に気持ちよく高鼾のようだ。始発駅だからこそ出来る話なんだろうけど、緑色の髪の自分たちと同じくらいかもう少し大きい?中学生くらいの少年が大きな鞄を真横に乗せて腕を枕に寝ている。ナミ達の気配も全然気が付かないようだ。

    「あたしたちここであってるよね?」
    チケットとシートナンバーをもう一度確認する。間違いない。

    「きっとまちがえられたんでしょう。でも・・しっかり寝てるわよね。悪いかな?」
    「遠慮することないんじゃない?」
    ナミはその腕に半分隠れた男の顔に向かって声を掛けた。
    「あのーー席、まちがえてますよ!!」
    ナミの大きな声に周囲の客の一部がちらりと視線をよこしたが当の本人は一切無しの礫。

    ・・・・微動だにしない男の子の姿とナミの額に浮かんだ青筋の双方を見てビビの胸は早鐘を打ちだした。
    「ナミさ・・待っ・・。」
    「ちょっとあんた!起きなさいよ!人の席でそこまでじゅくすいって一体何考えてんのよ!」
    まばらな乗客の皆が一斉にこちらを向いた。
    「あ?」
    少年は目を開けた。眠たげに、半分だけ。
    それでもむくれてるナミとはしっかり目線があった。





    「こちらの発券所のミスですね。同じ旅券が二枚ある。」
    穏和な笑顔の初老の車掌がナミの旅券と少年のを比べて、同じように穏和な声でそう告げた。
    「こちらのお嬢さんのとこちらのお兄さんの番号が同じになってます。」
    「と言う事は・・?」
    テラコッタさんの予約は最初から取っているはず。
    「俺はさっき駅でこれしかないってもらっただけだ。」
    少年はまだ眠そうに肩を回している。
    「目的地も同じで起こったミスですかね。いや、申し訳ない。こちらで宜しければ別に席を用意いたします。」
    車掌は通路を挟んだ反対側を指さした。高い席だけにまだ余裕はあるらしい。子供と思って舐めているのか声は穏和だがあまり申し訳なさそうじゃないその態度に思わずナミの口が動いていた。
    「え、でもこちらの本来の方が景色が良いわよね。」
    指定の席からは海が見えるのだ。この列車は狭い海岸線を走る為反対側は崖ばかりであまり楽しいとは言えない。それも二人には楽しみの一つだっただけにもう少し不満が残る。
    せっかくの旅行なんだし。
    なんで後から来たからってアタシ達が動かなきゃいけないの?

    「良いぜ、俺が動けばいいんだろ?」
    少年は大きなあくびをした。脇に積んであった荷物をさっとまとめて軽やかな身のこなしで静かに起きあがると荷物を肩にかけた。
    「そっち、空いてるんだな?」
    「そ、そうですが・・」
    大きな横長の鞄をどさっと席に放り込んで二人の目の前を緑の短い頭がすぎていく。
    「え?・・あ・・・・あの・・・・。」
    ビビの声は言葉にならなかった。
    「ありがとうございます。これで大丈夫ですな。」
    「あ・・・」

    もう一言言いたがったナミの口はこれで解決という車掌の一言で片づけられてしまった。
    おかげで二人は何も言えなくなった。
    自分が何を言いたかったか説明できない。ちょっとくすぶる不満を言いたかったのか?珍しく混乱しているのに少年はもう向こうでさっきの続きとばかりに転がっている。前に伸びた鍔が大きめの帽子を顔に被せて手を組んで微動だにしない。
    「良・・良いのかしら?」
    「ありがたく受けときましょ。」
    ナミの横顔はいつもより膨れて見える。
    (やなのー。なんだかこっちが追い出した悪者みたいじゃない。)
    少年の態度があっさりしていればいるほどナミの癪に障る。



    列車は動き始めた。窓の外の晴天の海は綺麗で思わずビビは身を乗り出した。
    「ナミさん!やっぱりこっちで正解よ!良かった・・・・・よね?」
    ナミはさっきの頬を膨らませたままのようだ。蒼天に一瞬ナミの不機嫌を忘れてたビビは反応の少なさに少し腰が引けた。

    「・・やっだなーーアイツ、同じツアーよ。」
    「え?」
    ナミは組んだ足を組み替えて広いシートの肘置きに体重を預けた。
    「バッグのポケットにグランドラインのパンフレットの端が出てた。」
    向こうの座席の彼の足下に大きめの緑色の鞄が溢れて見える。ナイロン製だから変形しているけれどそのポケットに確かに何か小さな紙片が見えた。

    「すご・・よく見てるわよね流石はナミさんだわ。」
    ナミのこういった目端の効き方はもう才能としか言えない。その素直に褒めた言葉もナミの口元を変えることはない。
    「ほんっとなんかむかつく。」
    まぁまぁとなだめて二人、窓の外を鑑賞することにした。だって外は良い天気よ。午前の内は風もまだ涼しい。南の島へなら旅の始まりにはうってつけ。
    さっき買ったジュースはすっかり濡れて取り出したハンカチで拭って開栓する。2人で乾杯とばかりに飲み込んだ。




    前方のトイレのサインが空になった。
    「私、ちょっと行ってくるわ」
    軽やかに席を立つとビビは自分のポーチを手に取った。
    「おつきあいしましょーか?」
    にやりとナミは笑う。
    「いいですよーだ」
    普段でも教室であれだけ仲の良い二人だがそう言うところまではあまり連れ立っていない。


    明かりが付いていても列車の中。手洗いの洗面所は薄暗い。そこに映る自分の顔も薄暗い。
    ナミと居るときには少しは忘れてナミの明るい顔と同調できるが一人になると思いは目的に集中する。

    父に、誰かが居ることはいつからか知っていた。
    父がたびたび出かける相手。お金を渡している相手。浮気かと亡き母に対して許せない という思いで父の部屋をあさった時に写真が出てきた。光る銀髪の背の高い人と良く似た黒髪の女の子の写真を一番大事な引き出しの奥の宝箱で見つけたときには怒りが炸裂しそうだった。


    鏡に小さかった自分が映ってる。あれはまだ幼稚園だった?
    『パパ!おかえりなさいっ!!!』
     母が亡くなっても父の仕事は多忙を極めて中々あえないことが寂しかった。だから会えるときには寝るまでずっと父と離れたことはないほどの仲の良さだった。
    『今日はいい話を持ってきたよ』
    前から頼んでいたSteiffの大きなクマのぬいぐるみだろう、今度幼稚園にもってって自慢するんだと思ったのに父が連れてきたのは黒い髪の極細い、そしてビビよりうんと大きい女の子だった。
    『ビビ、お母さんがいなくなって寂しいだろ?だから・・・』

    その先を聞きたくなかった。
    聞くのは怖かった。
    だからそのまま父にむしゃぶりついた。
    『パパがいればいいの!!ほかはいらないの!!!!!いらないの!!!いやなの!!!!』
    ちらっとパパ越しに見た一瞬、彼女の白い肌が青くなったことだけは覚えてる。




    父の裏切りを許せなくてこの四月からずっと考え込んできた。その時に偶然あのチラシを見つけた。色々な写真が切り貼りされていてそこに小さくうつった、それでもすぐ判る。
    映っていたのは子供の頃の写真とあまり変わらない顔だった。
    勉強も手に付かずそのチラシをそっと持ち、自室のベッドに転がって眺める。
    なんの感傷もわくはずなんて無い。ただ写真を見ているとムカムカしてきた。なのに誰に相談するわけにも行かない。

    何で?なんであたしがこんな思いしなきゃいけないのっ!


    会って直接言ってやりたくなった。
    私のパパに近づかないで!姉だなんて絶対に認めない!気持ち悪い!けどパパには言えなかった。

    ナミさんに今回のキャンプをお願いしたのは父の目をごまかす為もあるが、ナミさんとだったら何とかなりそうに思ったから。彼女と一緒にいてもの凄く勇気を貰ってる。
    以前、同じ学校にいた頃には自分ばかりがいじめられるのが怖かった。今は学校が大好き。ナミさんに会えるから。

    それでも
    「え?キャンプ?あたしんちびんぼーだからお金無いのよ」
    「お願い。まだ会ったことのない父の女を見にいきたいの」
    一瞬恐い顔をした彼女はこれ以上は聞かなかった。それ以上聞かない代わりにビビに条件を出してきた。あたしがお父さんのパソコン使えない?とか、夏休みは一緒に勉強しようとか。
    これはナミさんが私に負担を掛けない為の優しさだって事だけは良く判った。ありがたいその分頑張らなくっちゃ。



    「・・・水」
    男の子の声がした。
    「水!」
    耳元で大きな声。え?

    洗面所の鏡に少年が映っていた。黒い髪の男の子が居た。背は私よりも少し小さい。
    「水!遊んでんならおれにやらせろ!」

    えっと、考え込んでいる内に洗面所の手洗い用の水は出っぱなしで手はびちゃびちゃに濡れていた。手どころかスカートまで濡れてる。
    「あ!駄目よ。」
    慌ててその水を止めるとそれはそれで少年が不満げになった。肩越しに私の顔を正面の鏡で覗き込む。
    「お前、なんかブスだなーー変な顔」

    言い置いて座席の方へ駆け出してゆく。
    なんですって!?
    いきなり初対面の男の子言われて訳がわからず、反応できない間に彼は遠くに走っていった。


    全然面白くないわ!
    全くと言っていいほどに!
    なんなの!?あの女も。そして今の子供も!





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